(左)離れ家は、和と洋が程良くミックスされたモダンなインテリア。露天風呂と椅子が配されたテラスからは駿河湾が見渡せる。
(右上)新鮮な海の幸を生かした料理はもちろん美味。季節感や香りにこだわった、美しい創作料理の数々が登場する。
(右下)あんどんのような明かりに誘われて、エントランスへ。古民家の良質な部材を使った空間はどこか懐かしく感じられる。
伊豆の森の入り江に立つ離れ家の宿
無雙庵 枇杷
Text Mayumi Sakamoto
テラスの露天風呂から刻一刻と色を変える海を眺め、良質な温泉を満喫する。
伊豆・土肥の山一つを敷地にして、海を望む中腹に立つ離れ家の宿。あるがままの自然とそれに調和するモダンなデザインに、極上の居心地を見つける。
 伊豆・土肥お背戸の山一つを敷地にして、海側の山肌に八つの離れ家が配されている。海と大地に育まれたこの場所に、手を掛けることなく、あるがままの自然を差し出すことが「無雙庵 枇杷(むそうあん びわ)」のポリシー。人の手の入ることがなかった山は、樹木が生い茂り、花が咲き、やがて果実をもたらしながら、長い年月を過ごしてきた。
 初夏になると、枇杷の木に愛らしい果実が実り、ゲストの目を楽しませる。枇杷はこの土地の名産であり、丸く、うまく、美しいその形を、“もてなしの心"に重ね合わせ、宿の名に冠した。自然の中で供される、極上のホスピタリティーがこの宿の魅力だ。
 客室は全て露天風呂付き。八つの離れ家はそれぞれ独立しており、平屋建てと二階建ての2タイプがある。とはいえ、壁の色から家具・調度、設しつらえ、露天風呂に至るまで、一つとして同じものはなく全て趣きが異なる。どの部屋にも共通するのは、モダンな和洋室とこだわりのベッドが2台配されていること。そして、だんらんの時間を演出する囲炉裏の存在。この宿の主人が海岸を歩き、拾ってきた美しい流木がさりげなく飾られるなど、遊び心とセンスの良さがこの宿の雰囲気を作っている。
 フロントのある母屋には、古民家6軒分の大黒柱が使われ、しっとりと落ち着いた雰囲気。玄関には、伊豆の豪農の蔵戸に使われていた扉を現代によみがえらせた。また、スタッフによる手作りの照明が温かさを添える食事処も印象的。海を望む八つの部屋が用意され、足を伸ばしてくつろげる掘りごたつの席となっている。地元の野菜や海の幸をふんだんに盛り込んだ、創作懐石が供される。
 海は客室の露天風呂からも望めるが、貸切露天風呂で味わう開放感もぜひ体験したい。駿河湾に沈む夕日の美しさに感動しながら、空と海の間で伸び伸びと浸つ かることができる。山一つを敷地にした贅沢なランドスケープには、遊歩道が整備され、頂上までは約10分の道のり。途中、枇杷やみかん、山菜、筍たけのこといった山の幸が自生しており、自由に採ることができる。この土地が持つ自然を慈しみ大切にしながら、現代のスタイルを程良く取り入れ、真の高級が追求されている。その居心地は、もちろん極上である。


●無雙庵 枇杷
静岡県伊豆市土肥259-1
TEL:0558-97-3123 http://www.izu-biwa.jp" target="_blank">http://www.izu-biwa.jp
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