





(上左)「横綱がみんな大きいわけじゃない。カニも同じ。どんなに大きくても、あけてみたらスカスカ、なんてこともある」と山田氏。学生相撲出身らしい分かりやすい例えで、「だからこそ目利きが重要だ」と語る。(上中)鳥取駅前に店を構える「かに𠮷」は、カニすき・焼きガニ・カニ刺しの三つのコースが中心。ゆでガニの姿盛り、雑炊の魂炊、カニフライなどの単品をプラスして楽しみたい。高価だが、「原価8割」と太っ腹!(上右)カニすきでは、カニの部位、具材ごとに一皿ずつ取り分ける。都合10種類の皿を使うという。地元の窯元ものから作家もの、古い時代のものなど、多種多彩。具材との相性、お客様の好みに応じて使い分ける。(下左)元横綱の貴乃花が、あまりの旨さに感動して贈った掛け軸。歴代横綱の手形を集めた“レアもの”だ。今も地域の子どもたちに相撲を教える元力士の山田氏だけに、眺めるたびに心を鼓舞していることだろう。(下中)カニすきを盛り上げる、地元の野菜たち。「かに𠮷」は松葉がにのシーズン後の5月から「なつ𠮷」に衣替え。日本海の海の幸を始め、鳥取和牛の万葉牛や 野菜など、“地物”をふんだんに取り入れた料理を提供。(下右)「鯉を描かせたら右に出る者がいない」と言われる森田光達画伯によるカニの絵。「かに𠮷」のカニの旨さに触発されて、ふだんは描かないカニを描いたのか。極上の料理には、思わず絵筆を取らせる力があるのか。
今も進化の真っ最中
山田氏は浜坂漁港の目の前の実家で、母、妻と三人で暮らす。
「かに𠮷はもともと叔父が開いた店。ただ多額の借金を負い、カニの仲買を生業とするうちの両親が引き取ることになったんです。その時に僕は東京から呼び戻され、3年後に父が亡くなった。その辺りからカニとともに生きる毎日が始まりました」
最初に手掛けたのは、叔父の時代に使っていた冷凍のカニを自ら仕入れるカニに変えたことだ。しかしどんなにいいカニを使っても、客足は伸びなかった。「何だか三流だとバカにされているような気すらした」という山田氏は、悔しさをバネに「カニの魅力をより多くの人に伝えたい」一心で、必死の努力を積み重ねたそうだ。
「もっと良いカニを、もっとおいしい料理法をと研鑽を続けるうち、自然と今の形になりました。その中で一番大きかったのは、10年ほど前に料理評論家の山本益博さんに評価されたことですね。国内外の一流店に連れて行っていただいたり、厳しい視点からアドバイスをくださったり。感謝に堪えません。でも僕はまだ進化の途上、頂上が見えないくらい下の方でもがいている感じです。お客様に感動の扉を開いてもらうのが僕の仕事。昨日より今日、今年より来年と、少しずつ味わいを洗練させていきたいですね」――力強く語る山田氏は、常にお客様に「感動した、よし、もう一度」の食体験を提供したいと貪欲に求める料理人なのだ。
●かに𠮷
鳥取県鳥取市末広温泉町271
TEL0857-22-7738
営業時間 14:30~16:30 17:00~22:00 ※要予約
定休日 不定休
「かに𠮷はもともと叔父が開いた店。ただ多額の借金を負い、カニの仲買を生業とするうちの両親が引き取ることになったんです。その時に僕は東京から呼び戻され、3年後に父が亡くなった。その辺りからカニとともに生きる毎日が始まりました」
最初に手掛けたのは、叔父の時代に使っていた冷凍のカニを自ら仕入れるカニに変えたことだ。しかしどんなにいいカニを使っても、客足は伸びなかった。「何だか三流だとバカにされているような気すらした」という山田氏は、悔しさをバネに「カニの魅力をより多くの人に伝えたい」一心で、必死の努力を積み重ねたそうだ。
「もっと良いカニを、もっとおいしい料理法をと研鑽を続けるうち、自然と今の形になりました。その中で一番大きかったのは、10年ほど前に料理評論家の山本益博さんに評価されたことですね。国内外の一流店に連れて行っていただいたり、厳しい視点からアドバイスをくださったり。感謝に堪えません。でも僕はまだ進化の途上、頂上が見えないくらい下の方でもがいている感じです。お客様に感動の扉を開いてもらうのが僕の仕事。昨日より今日、今年より来年と、少しずつ味わいを洗練させていきたいですね」――力強く語る山田氏は、常にお客様に「感動した、よし、もう一度」の食体験を提供したいと貪欲に求める料理人なのだ。
●かに𠮷
鳥取県鳥取市末広温泉町271
TEL0857-22-7738
営業時間 14:30~16:30 17:00~22:00 ※要予約
定休日 不定休