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もろみに櫂入れする職人。

さて、その蔵で造り出される日本酒、IWAはこれまでの日本酒とどのように違うのだろうか。ジョフロワ氏は語る。「私が求める日本酒は、調和のとれた、複雑さとバランスのよさを持った酒です。もちろん、私は杜氏(とうじ)になれるわけではありません。理想にたどり着くには、複数の酒米と酵母による酒をアッサンブラージュするという、従来の日本酒造りには用いられなかった技法が必要でした。で、杜氏と緊密に連携しながら醸された酒をブレンドし、リザーブワインならぬ、リザーブ日本酒を加えるなど、シャンパーニュ造りの神髄ともいえるテクニックで、IWAを仕上げていきました」と。結果、出来上がったIWAは繊細ながら、味に厚みのある、階層のある複雑さと、余韻の長さを併せ持った、これまでにはない、革新的な日本酒になった。

 初めてIWAを飲んだ時の感想をジョフロワ氏に聞いてみた。「何年もかけて、チームを組み、ブランドを作り、蔵を造り、やっとたどり着いたわけですから、完成したIWAを飲んだ時は、言葉で表現できない感慨深さでした。けれどIWAは実験的な酒です。これに満足することなく、毎年新たなアッサンブラージュ を造り、さらなる進化を続けていくつもりです」と意欲的だ。

 その楽しみ方は、これまでの境界を取り払った酒だからこそ、実験的にいろいろなものに合わせて楽しんでほしいという。コース全体を通して楽しむことができ、どのような料理でも受け止めるだけの懐の深さを持った酒であるとも。IWAは真の意味で、世界に開かれた酒なのである。

●白岩 iwa-sake.jp
アッサンブラージュによって生まれたIWA 5。5という数字は、バランス、ハーモニー、融合や本質を表す。ボトルのデザインはプロダクトデザイナーのマーク・ニューソン氏。Photo Jonas Margnet
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