「幻の柿」に230年の歴史あり
JA鳥取いなば
JA鳥取いなば
千代川の支流、八東(はっとう)川沿いに花御所(はなごしょ)柿の果樹園が広がる。まさに柿色の丸い果実が花のように乱れ咲き、不思議なくらいにかわいらしい。収穫期を迎え、葉が落ちて果実だけが枝に残っているために、ほかの柿にはない特異な景観になるのだという。
「収穫は例年、11月下旬から始まります。花御所柿は花が咲いて実がなるのが一番早いけれど、収穫は遅い。年によっては雪をかぶることもあります」と細田邦男氏。へたと果肉の間に隙間があって売り物にならない「ヘタスキ」の実を一ついただいたが、“出来そこない"かと思いきや、肉質が緻密で、実に甘くて、しっとりした味わい。「幻の柿」の呼称に誇張はないと実感した。
細田氏の願いは、「花御所柿を全国区のブランドに育てる」こと。一番大変な剪定作業を春に終えると、初夏にかけては摘果、下草が伸びれば刈り取りと、作業は休みなく続く。
「収穫は例年、11月下旬から始まります。花御所柿は花が咲いて実がなるのが一番早いけれど、収穫は遅い。年によっては雪をかぶることもあります」と細田邦男氏。へたと果肉の間に隙間があって売り物にならない「ヘタスキ」の実を一ついただいたが、“出来そこない"かと思いきや、肉質が緻密で、実に甘くて、しっとりした味わい。「幻の柿」の呼称に誇張はないと実感した。

細田邦男氏はJA鳥取いなば郡家(こおげ)支店柿生産部の部長を務める。樹木の下に、陽光が反射するよう銀のシートを敷くなど、手をかけて大切に育てている。
「花御所柿には約230年の歴史があるんですよ。江戸時代は天明年間(1781〜89年)に、八頭町(旧郡家町)の花と呼ばれる地域の農民だった野田五郎助翁が大和国(奈良県)の御所柿を一枝持ち帰り、渋柿に接ぎ木したのが始まり。時代が下がって明治の終わりごろ、農林省園芸試験場長を務める恩田鉄弥博士により、地名にちなんで『花御所柿』と名づけられました。今年は台風があって、実が傷んでね、比較的小玉で、例年より収穫量が減りました。それでも糖度は17〜20度、いろんな種類がある柿の中でも、群を抜く甘さに仕上がっています」細田氏の願いは、「花御所柿を全国区のブランドに育てる」こと。一番大変な剪定作業を春に終えると、初夏にかけては摘果、下草が伸びれば刈り取りと、作業は休みなく続く。

果樹園はもともと水田だった所。土が柔らかい。花御所柿の中でも果色・熟度・生傷・ヘタスキ・果形・大きさなどの高い基準を満たすものが「こおげ花御所柿」として規格化されている。