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赤身とサシ、絶妙のバランス
うしぶせファーム
3頭の牛が、柵で仕切られた3×6mの空間に暮らす。彼らがゆっくり眠れることを考慮した広さだ。「牛たちの相性を観察しながら“部屋割り”をしている」という。
鳥取県東部、青谷町の山間部に広大な敷地を擁する「いかり原牧場」。その一角に3年ほど前、JA鳥取いなばが畜産農家に貸し出すための4棟の牛舎が完成した。そこに名乗りを上げた一人が、うしぶせファームの2代目、岸本真広(まさひろ)氏である。父の真一郎氏が、和牛の生産地として知られる智頭町(ちづちょう)で約30年前に開いたファームを継いで20年弱、上質な鳥取和牛の生産に心血を注ぐ。


うしぶせファーム2代目、岸本真広氏。牛舎右側に生後1年半、左側に同2年半の牛たちが並ぶ。体重がオスで800~900㎏、メスで650~700㎏になると出荷される。
 「智頭町では子牛の生産・飼養も手掛けていますが、ここでは肥育のみ。自前+市場から購入した肥育牛が100頭ほど、暮らしています」
 のんびり草をはむ牛たちに優しい目を注ぐ真広氏だが、最も大切にしているのは「できる限りストレスなく育てること」だという。
 「牛にとって牛舎は、唯一の生活スペースです。たっぷり食べてしっかり眠って、心穏やかに、健康的な毎日を送れるように、清潔で快適な環境を整えています」
 大事に育てられる牛たちの食事は、配合飼料、稲わら、牧草を基本に、砕き方にまでこだわったトウモロコシや大麦などのオリジナル素材をブレンドしたもの。何を食べさせれば牛の脂質・肉質・肉味が良くなるか、真広氏は経験的に知り抜いているのだ。
 「うちの肉は赤身に味があります。サシが程よいバランスで入り、さっぱりとした味わい。女性でも200gをペロリと平らげて『もうちょっと食べたいな』と思うくらい。かなりうまいです」と胸を張る。今後はさらに生産量を増やしていきたいという。


鳥取県は大正時代、全国で初めて和牛の登録制度を始めた。血統を明確にし、和牛を1頭ごとに管理することが、その後の品種改良につながったという。
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