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さて、その日の先頭のチームが残り1時間を切る頃、美しくセッティングされたロングテーブルに、審査員であるシェフたちが、コックコートに金メダルをかけた威厳のある姿で列を組んで入場し、席につく。会場の声援も一段と大きくなる。彼らは、参加国(今回は21か国)の各チームの試食審査メンバーで、プラッター審査12人、テイクアウェイ審査12名に分かれて試食審査をする。この中には、日本が2013年に唯一3位入賞を果たした、浜田統之氏もいる。

 持ち時間の数分前になると、スクリーンには仕上げの様子が大映しになり、会場には緊張感が走る。万が一間に合わなかったときには、タイムに応じて、減点だという。無事、完成し、拍手。そして、一つずつボックスを、男女のサービスマンに渡し、彼らは一列に並んで壇上を回り、審査員の元へと届ける。その無駄のない動きの美しさは感動的ですらある。テイクアウェイのテーマとなった素材は、海老とトマト。ボックスを開けたときの鮮やかな色や、華やかな仕上がりがどの国も印象的だった。

 採点は、見た目の美しさ、構成、味、食感、創意工夫など、細かく項目が分かれていて、それらに、評価点を書きこんでいく。審査も真剣そのものだ。食べるだけでなく、スマホで写真を撮りながら、前のチーム、前々のチームなどの料理と比べながら、その微妙な違いに、厳しい、判定を下していく。途中、時間をずらして、プラッターの持ち時間が終了となるが、今度は運営委員会のシェフたちが、夢のように美しいプラッターをもって壇上を一周する。プラッターのテーマは牛肉のブレゼ。主菜である肉を彩るガルニの盛りつけは、各国の腕の見せどころだ。切り分けられ、それぞれのプラッター審査員のもとに届けられ、同じく、細かな7~8項目に、点数を入れていく。こちらは温かな料理なので、火入れや温度が重要なポイントとなる。こうして、最終組までの審査が続いていく。作る料理人も大変だが、試食審査も命がけ。日頃からの鍛練と経験がなければ、とても務まるものではない。

試食審査の様子。
 さて、3時間後の授賞式でいよいよ栄冠の勝者の発表となる。比較的時審査時間が短いが、これは、審査シェフたちがつけた点数の完全なる合計が得票であって、一切の私情をはさむものではないからだ。

表彰式になると、各シェフの率いるチームは国旗を持ち、胸をはって入場。その間も、観客からの応援はなりやまず、まるでオリンピックの入場行進を見るかのような盛り上がりだ。

国旗を掲げ表彰式に挑む日本チーム。
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