

食語の心 第89回
作家 柏井壽
京都の新しい飲食店様式
コロナによって飲食店の様相が一変したのは京都だけではないのだろうが、京都に生まれ育ったぼくにはやはり、身近な存在なので、コロナによって飲食店がどう変わったか、京都を例にして検証してみたい。
前号でご紹介した「食堂デイズ」は四条河原町を少し下がって、東に入ってすぐのビルの2階にある洋食屋だ。
ランチタイムは手軽なワンプレートスタイルで、夜は洋風居酒屋的な店になる。
「食堂デイズ」の主人はコロナ以前、フレンチの香りがする大箱の洋食レストランでチーフシェフとして腕を振るっていた。
アラカルトもあるが、コース仕立ての洋食が人気を呼んでいて、ソムリエが選ぶワインと一緒に洋食を味わえるので、幾度となく足を運んだ。2階には個室もあって、ちょっとした接待にも、家族そろっての会食にも使えて重
宝したものだった。
そんな70席を超えるような、大きなレストランは閉め、代わりにシェフが開いた店は、テーブルが五つというしごく小体な店。
料理の根本を変えることなく、以前のレストランと比べて、かなりカジュアルなメニューが並ぶ。それに合わせて値段もリーズナブルで、居酒屋使いできるのがありがたい。
ポテトサラダやローストビーフ、ハンバーグにオムライスなど、正統派の洋食が並ぶメニューのなかで、ひときわ異彩を放っているのが、小鍋料理。
洋食屋で鍋料理。なんとも斬新なメニューだが、これはきっと、料理の枠にとらわれない、というシェフからのメッセージなのだろう。
コロナ禍が一段落したように思われる、最近になってオープンした店はおおむねこんなふうだ。
なかには、あくまで高級路線を貫く店もあるにはあるが、客の入りはあまり芳しくないようだ。
前号でご紹介した「食堂デイズ」は四条河原町を少し下がって、東に入ってすぐのビルの2階にある洋食屋だ。
ランチタイムは手軽なワンプレートスタイルで、夜は洋風居酒屋的な店になる。
「食堂デイズ」の主人はコロナ以前、フレンチの香りがする大箱の洋食レストランでチーフシェフとして腕を振るっていた。
アラカルトもあるが、コース仕立ての洋食が人気を呼んでいて、ソムリエが選ぶワインと一緒に洋食を味わえるので、幾度となく足を運んだ。2階には個室もあって、ちょっとした接待にも、家族そろっての会食にも使えて重
宝したものだった。
そんな70席を超えるような、大きなレストランは閉め、代わりにシェフが開いた店は、テーブルが五つというしごく小体な店。
料理の根本を変えることなく、以前のレストランと比べて、かなりカジュアルなメニューが並ぶ。それに合わせて値段もリーズナブルで、居酒屋使いできるのがありがたい。
ポテトサラダやローストビーフ、ハンバーグにオムライスなど、正統派の洋食が並ぶメニューのなかで、ひときわ異彩を放っているのが、小鍋料理。
洋食屋で鍋料理。なんとも斬新なメニューだが、これはきっと、料理の枠にとらわれない、というシェフからのメッセージなのだろう。
コロナ禍が一段落したように思われる、最近になってオープンした店はおおむねこんなふうだ。
なかには、あくまで高級路線を貫く店もあるにはあるが、客の入りはあまり芳しくないようだ。