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と話す小掠さんの横顔からは、白イカに対する愛情と本物の漁師のプライドを感じた。鳥取の白イカは、新鮮なものほど身が厚く、もっちりとしていて、甘みと旨みが強い。この新鮮な状態が神経締めと墨抜きの処理をすることで、1週間程度同じ〝鮮度〞で味わえるという。
 赤碕町漁協で前日に小掠さんが釣り上げ、冷蔵庫に1日入れてあった2日目の白イカを神田さんと鳥取の料理人とともに試食。白イカの皮をはいで、その身が現れると「透明感があって、きれい! 普通1日以上経っていたら、身はゆでたみたいに真っ白い状態なのに、神経締めしたイカは、釣ったばかりのようにまだまだ透明だし、イカの筋肉組織が壊れていないから食感がもっちりしている。ものすごく甘みもありますね。それに墨抜きもしっかりされているから、さばく時に水を使わずに済むのもいい。小掠さんが精度の高い処理をしているから、こんなにもおいしいんでしょうね」
 と神田さんは感心しきりだった。
 白イカは7月下旬から産卵に入り、1年足らずのその生涯を終える。
そして、新たな命が育ち、秋ごろには〝ブドウイカ〞として、地元の食卓に再び上がる。
 小掠さんは「サイズは小さめで肉厚な、秋にとれるこのブドウイカを、ぜひ神田さんに食べてみてほしい」
と満面の笑み。小ぶりながら肉厚で、もっと甘みが強いという〝ブドウイカ〞の味が気になって仕方がない様子の神田さんだった。
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