
食語の心 第68回
作家 柏井壽

旅と食の素敵な関係
社会情勢だとか、国際関係だとか、経済状況などなど、ネット上にはさまざまな情報があふれ返っているが、そんななかでも、最もよく目に付くのは食情報ではないだろうか。
もちろんそれは、僕自身が興味を持っていて、最も重大な関心を寄せていることを、ウェブが自動的に見抜き、情報を選別しているからだろうが。
それほどに多くの食情報があふれていても、旅をしてはじめて分かる食情報もあれば、ネット情報の曖昧(あいまい)さに気付くこともよくある。
旅が教えてくれる、本当の食の話。最近の事例をご紹介しよう。
ご縁をいただいて、三重県の桑名市を訪れることとなった。
梅雨のさなか。6月初旬ごろのことだ。たいていは通過するだけで、じっくり見ることのなかった桑名だが、さすが東海道五十三次の一宿だけあって、街歩きをしても実に愉たのしく、多くの発見もあった。
だが、梅雨の晴れ間はムッとした暑さをもたらし、少し歩くだけで汗だくになり、一刻も早く暑気払いをと、ホテルでシャワーを浴びて、早々に夕食を摂と ることにした。
桑名の食と言えば、誰がなんと言おうがハマグリである。「その手は桑名の焼きハマグリ」という洒落(しゃれ)言葉は誰もが知るところだ。
ではあるのだが、暑い時季のハマグリは避けるべし、と思いこんでいたから、どうしたものかと迷っていた。カキやハマグリなどの二枚貝はあたるとコワイのだ。
ハマグリ料理の店にお誘いいただいた地元の方に、おそるおそる、そんな話をしてみたら、笑い飛ばされてしまった。
なんと、6月は桑名のハマグリが一番美味(おい)しい時季だというのだ。5月の終わりごろから7月のはじめごろまでが最盛期で、なかでも梅雨のさなかの6月がベストシーズンだと。
料理屋の主人も、翌日訪れた「はまぐりプラザ」の館長さんも、皆さん口を揃えて、ハマグリの旬は6月だ!と言い切っておられたから間違いない。
もちろんそれは、僕自身が興味を持っていて、最も重大な関心を寄せていることを、ウェブが自動的に見抜き、情報を選別しているからだろうが。
それほどに多くの食情報があふれていても、旅をしてはじめて分かる食情報もあれば、ネット情報の曖昧(あいまい)さに気付くこともよくある。
旅が教えてくれる、本当の食の話。最近の事例をご紹介しよう。
ご縁をいただいて、三重県の桑名市を訪れることとなった。
梅雨のさなか。6月初旬ごろのことだ。たいていは通過するだけで、じっくり見ることのなかった桑名だが、さすが東海道五十三次の一宿だけあって、街歩きをしても実に愉たのしく、多くの発見もあった。
だが、梅雨の晴れ間はムッとした暑さをもたらし、少し歩くだけで汗だくになり、一刻も早く暑気払いをと、ホテルでシャワーを浴びて、早々に夕食を摂と ることにした。
桑名の食と言えば、誰がなんと言おうがハマグリである。「その手は桑名の焼きハマグリ」という洒落(しゃれ)言葉は誰もが知るところだ。
ではあるのだが、暑い時季のハマグリは避けるべし、と思いこんでいたから、どうしたものかと迷っていた。カキやハマグリなどの二枚貝はあたるとコワイのだ。
ハマグリ料理の店にお誘いいただいた地元の方に、おそるおそる、そんな話をしてみたら、笑い飛ばされてしまった。
なんと、6月は桑名のハマグリが一番美味(おい)しい時季だというのだ。5月の終わりごろから7月のはじめごろまでが最盛期で、なかでも梅雨のさなかの6月がベストシーズンだと。
料理屋の主人も、翌日訪れた「はまぐりプラザ」の館長さんも、皆さん口を揃えて、ハマグリの旬は6月だ!と言い切っておられたから間違いない。