

食語の心 第54回
作家 柏井壽
口コミもどき
口コミ。読んで字のごとく、口から口へと伝えられていくことをいう。この本来の意である口コミと、今使われている言葉としての口コミは、全く別物だと理解していないと、大きな誤解を生むことになる。
今の時代、口コミといえばグルメサイト。ありとあらゆる飲食店を網羅したウェブサイトで、その最大の売り物が口コミ欄だ。
店のデータ情報だけなら、他にもたくさんグルメサイトがあるが、豊富な口コミ投稿で知られる某有名サイトは圧倒的な人気を誇っている。
最近では、そのレビュアーにもファンが付いているそうで、中にはグルメ本を出版するレビュアーもいて、匿名ながら有名人という、いくらかいびつな形になっている。
では、その有名レビュアーと呼ばれる人たちの、いわゆる口コミというものが、どこまで信用できるかといえば、これが何とも心もとない。
つい最近も、名の知れたレビュアーと店側の癒着ぶりが、週刊誌報道によって暴露されたばかり。
投稿にはハンドルネームを使っているものの、その名を使って店に食事に行っているそうだから、匿名性は極めて低い。
当然のことながら、店にとっては一般客より大事な客である。影響力の大きいレビュアーにネガティブなことを書かれないように、最大限の気を使う。それはいつしか特別待遇に変わり、やがて接待へとつながってゆく。
となれば、そのレビュアーはもうプロと呼んでもいいだろう。しかも言葉は悪いが、タカリの構造まで生まれているといわれるに至っては、本来の口コミとは程遠い世界と言わざるを得ない。
店に行けば特別待遇を受け、しかも無料で食事できるとなれば、誰が辛辣な評など書けるものか。レビューで絶賛すれば、また次回もゴチになれるはずだ。
こうして、限りなくプロに近いグルメブロガーは、勘違いという深みにはまってゆく。いっぱしの有名人気取りになり、ハンドルネームを振りかざす。
一方で店側は、これをうまく利用しようとして過剰接待に走る。
今の時代、口コミといえばグルメサイト。ありとあらゆる飲食店を網羅したウェブサイトで、その最大の売り物が口コミ欄だ。
店のデータ情報だけなら、他にもたくさんグルメサイトがあるが、豊富な口コミ投稿で知られる某有名サイトは圧倒的な人気を誇っている。
最近では、そのレビュアーにもファンが付いているそうで、中にはグルメ本を出版するレビュアーもいて、匿名ながら有名人という、いくらかいびつな形になっている。
では、その有名レビュアーと呼ばれる人たちの、いわゆる口コミというものが、どこまで信用できるかといえば、これが何とも心もとない。
つい最近も、名の知れたレビュアーと店側の癒着ぶりが、週刊誌報道によって暴露されたばかり。
投稿にはハンドルネームを使っているものの、その名を使って店に食事に行っているそうだから、匿名性は極めて低い。
当然のことながら、店にとっては一般客より大事な客である。影響力の大きいレビュアーにネガティブなことを書かれないように、最大限の気を使う。それはいつしか特別待遇に変わり、やがて接待へとつながってゆく。
となれば、そのレビュアーはもうプロと呼んでもいいだろう。しかも言葉は悪いが、タカリの構造まで生まれているといわれるに至っては、本来の口コミとは程遠い世界と言わざるを得ない。
店に行けば特別待遇を受け、しかも無料で食事できるとなれば、誰が辛辣な評など書けるものか。レビューで絶賛すれば、また次回もゴチになれるはずだ。
こうして、限りなくプロに近いグルメブロガーは、勘違いという深みにはまってゆく。いっぱしの有名人気取りになり、ハンドルネームを振りかざす。
一方で店側は、これをうまく利用しようとして過剰接待に走る。