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(左)総料理長 野﨑洋光(のざき・ひろみつ)今年65歳を迎えた野﨑洋光氏。分とく山料理長就任から38年、開業から今年で30年の長きにわたり、料理界の第一線で活躍し続ける。コースで1万5000円という価格を30年間据え置きにして、幅広い層に日本料理を楽しんでもらう姿勢を貫く。テレビ出演も多く、著書は100冊超。日本料理の伝道師として、意欲的に働き続ける。
(右)料理長 阿南優貴(あなん・ゆうき)分とく山の料理長を務める阿南優貴氏。調理師学校を卒業後、分とく山で修業を開始し、以来15年間にわたって野﨑氏のもとで働く。野﨑氏の理論的な日本料理の技術を真摯に継承。「料理人、特にお客さんと対面で接するカウンターの店で大事なのは、誠実で素直なこと。阿南はお客さまにも愛されるキャラクター」と話し、大きな信頼を寄せる。
料理の品格は温もりにある
Photo Masahiro Goda Text Izumi Shibata
進歩する店、続く店「分とく山」
「初めて料理長という立場に立ったのは26歳の時。修業時代が短かったこともあり、お客さまに育てていただいたようなものです」と話す野﨑洋光氏。とく山で料理長を8年間務めた後に分とく山の料理長となり、以来約30年にわたり料理界の最前線を駆け抜けてきた。
 「ずっと同じことをしてたら飽きられる。お客さまに喜んでいただくにはどうしたらいいか、カウンターという形式の店ではより切実に考えるようになる」と話す通り、65歳を迎えた今でもよりよい料理を追求する意欲は一向に衰えない。「進歩する店が続く店、はやる店なんです」とにこやかに話す。
 今年の5月、南麻布の店の隣に、店を立て替え新築したことも野﨑氏の料理に変化をもたらしたという。
「日本料理の感動はどこにあるかを考えると、やはり食材の風合いをしっかりと、鮮やかに伝えるところから生まれるはず。創作や高級食材ではないのです。そういう考えは前々から持っていましたが、移転後はいっそう強化、実践してゆこうと思っています」
 具体的には、「直前仕事を徹底することです」と話す。例えば、今回紹介した蒸しアワビと生ノリの一品も、アワビはお客が口にする時間から逆算して、蒸して冷ましたものを盛り付ける。とうもろこし豆腐に盛り込むエビも同様に、しっとりとゆで上げ、冷ましたものを盛る。
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