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京料理を広げてとらえる
こうした久保田氏の背景には、日本料理の料理人としてはやや珍しい経歴がある―祇園の割烹に生まれ、大学卒業後は名料亭で修業を積みつつ、フランス料理にも心酔し独学。ついには渡仏して修業。その後ロンドンの和食店「Umu」初代シェフに就任、5年間で世界的なモダンジャパニーズのブームの一角を担う大人気店に育て、帰国した。
 「正直、ロンドン時代は追い立てられるように新作を発表し続け、苦しかったことも」と、久保田氏は笑いながら話す。「今は地に足をつけて料理に取り組むことができており、海外で得た知識や技術も自分の中にしっかり根付いた実感があります」
 現在、久保田氏の料理の活力の源になっているのは、生産者との交流だ。「京料理は、全国から集まった素材や技術を取り入れてきた。そんな多彩さが歴史の中で洗練され、そぎ落とされ、現在『京料理』とされる形になった。私は、そこからさかのぼりたい。それで、畿内各県の食材や発酵食品の生産者のもとを訪ねたり、信州まで足を延ばし味噌蔵に学びに行ったり」と、各所を飛び回る。「生産者さんは、本当に知識が豊富。アイデアをたくさんいただけます」と楽しそうに話す。
 京料理をさかのぼる旅を、はっきりとした自覚を持って進める久保田氏。グローバルとローカルが融合する氏にしかできない料理が、今新たな進化の局面を迎えている。

●星のや総合予約 TEL0570-073-066(9:00~20:00)
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星のや京都料理長 久保田一郎
1974年祇園「八寸」に生まれる。「今橋つる家」などで修業しつつ、フランス料理を独学し渡仏。2004年、ロンドン「Umu」初代シェフに就任、同職を5年間務める間に和食ブームを牽引、「KAISEKI」を現地に浸透させる。帰国後、2011年「星のや京都」料理長に就任。
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