ズワイガニ漁が解禁になって間もなくの11月下旬、松葉がにで沸く賀露(かろ)港。そのセリに行くはずだった。しかし、数日海が荒れて漁に出られず、セリは休み。でもやっぱり蟹を見たいと訪ねたのが中村商店だ。昨年、松葉がにの最高級ブランド「とっとり特選松葉がに五輝星(いつきぼし)」1杯を過去最高となる130万円で落札した店である。賀露港に水揚げされる海の幸をセリで買い付け、港に隣接するこの店で販売・加工している。この日も中村商店には、カニビルの卵がたくさんついた松葉がにや、卵をパンパンに抱いた親がにが数多く並んでいた。ちなみにカニビルの卵がついているのはしばらく脱皮をしていない証拠。そのため身がよく詰まった上質な蟹ということになる。
賀露港の近くには、鳥取港海鮮産物市場かろいちもある。ここには、鳥取県漁協の直売所や中村商店の支店もあり、プロも足しげく通う、〝とっとりの台所〞だ。
賀露港の近くには、鳥取港海鮮産物市場かろいちもある。ここには、鳥取県漁協の直売所や中村商店の支店もあり、プロも足しげく通う、〝とっとりの台所〞だ。


(上)中村商店には、市場でセリがない日でもこんなにたくさんの松葉がにや親がにがある。さすがこの地で昭和元年から創業している老舗である。(下)メスのズワイガニを親がにと呼ぶ。濃厚な味わいの内子(うちこ)とぷちぷちとした食感の外子(そとこ)、そしてコクのある味噌がある親がにには、蟹の旨みが凝縮されている。漁期は11月~12月。