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銀座 小十 奥田透(おくだ・とおる) 1969年静岡県生まれ。2003年に「銀座 小十」を構えて以降、人気と実力を備えた店として東京の日本料理シーンを引っ張る。2013年にはパリに「OKUDA」をオープン。世界の舞台で活躍する。
鶏の照り焼きと松茸、銀杏の炊き込みごはん
ふたを開けると、松茸と鶏の香りが立ち上る。鶏はジューシー、松茸はシャキシャキとした食感。旨みを吸った米粒一つずつの存在感のある仕上がりである。
「世界一、おいしいごはんを炊く」を目指したというバーミキュラライスポット。そのごはんの魅力を存分に楽しめる品として、今回は「鶏の照り焼きと松茸(まつたけ)、銀杏(ぎんなん)の炊き込みごはん」を作りました。鶏の旨み、松茸の香り、炊き上がったお米の甘みが渾然(こんぜん)一体となった一品です。
 松茸は、軸は薄切りにしてお米とともに出汁で炊き、傘はくし切りにして提供直前に鍋の中に入れます。鶏肉は、軽く焼いたものを“蒸らし"のタイミングで鍋に入れ、ジューシーに仕立てます。と同時に、鶏から出る旨みをお米に吸わせます。
 なお、実際にライスポットを使ってみて特に感じた魅力は、米一粒ずつが味わい深く、かつふっくらと仕上がること。鍋の肩の高さにまでヒーターを配する構造が、昔ながらの“羽釜を包み込む加熱"を実現しているからだと思います。また、ふたの機密性が非常に高いので、米一粒ずつに圧がかかる。その圧により、お米の風味が存分に引き出されているようです。
 さらに鋳鉄という素材の特性でしょうか、熱の伝わり方が力強くふっくらした中にも張りがある仕上がりに。お米や具材の味がくっきり、生き生きと立ち上がってくる様には驚かされました。
 この鍋のふたと本体にはそれぞれに、両手用の取っ手がついています。この取っ手の絶妙なデザインのおかげで、鍋はかなり持ちやすく、鋳鉄製とは思えない軽い印象に。どんどん料理が楽しくなって出番が増える、その幅も広がる鍋になるでしょうね。

●銀座 小十
東京都中央区銀座5-4-8カリオカビル4F TEL03-6215-9544 www.kojyu.jp 日曜・祝日休み
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