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スッポンのセリ煮
「調理」という言葉に愛情は含まれていない。それは無機質に食品を加工するだけだ。「料理」とは、食べ手の喜ぶ顔を思い浮かべて作るもの。つまり、【食べ手】【材料】【自分の力量】をトータルで考察して、生まれるのが料理であると言いたい。
 と、これまで毎月立派そうなことを書き並べてきたが、これらは私自身に言い聞かせるために書いてきたと言える。
 人間が行う全ての作業に完璧などありはしない。AI(人工知能)が医療や科学技術分野で目覚ましく発展することが予測される現代、料理だけは人間にしか成し得ない作業となるだろう。しかしそれは“調理"と“料理"をハッキリと区別して進む道の先にある。古臭い言葉をあえて使うならば、「料理は愛情の産物である」ということだ。AIではなく愛。思いやりと気遣い。「おいしい」と言ってほしいと願う切ない気持ち。その心を今日も明日も持ち続けることこそが我ら料理人にとって最も大事な才能だ。
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