
神田裕行 真味只是淡 最終回
Photo Masahiro Goda

スッポンの空揚げ
La joie est dans la cuisine
料理とは、自然の生命を人間がいただくための工程であり、本来は生命をつなぐための行為である。だが我々はよりおいしくいただくために、努力を重ねて、現在の料理文化を育ててきた。若い料理人は技術を習得してレシピを覚えることが課題であるだろうが、私の経験をもとに言うなら、技術に頼り過ぎれば食材の本質を損なうことがあるし、時代の変化によって求められる技術が変わることも多々ある。
修業先のレシピを覚えることは無論大事なことだが、これもまた時代の流れにより需要が変化すること、食材の状態により変更しなければならないことを鑑みれば、レシピを丸暗記することに意味はなく、結局は目の前にある材料をどれくらい深く考察し、食材を生かす料理を作れるかどうかが、料理人の力量となる。つまり、必要最小限の的確な技術こそが求められている本質である。加えて言わせてもらえば、私にとってはその料理を、誰が、どういうシチュエーションで食べるかということが最も大切なのであり、その全てを考察した上で調理することを、私は「料理」と呼ぶ。
修業先のレシピを覚えることは無論大事なことだが、これもまた時代の流れにより需要が変化すること、食材の状態により変更しなければならないことを鑑みれば、レシピを丸暗記することに意味はなく、結局は目の前にある材料をどれくらい深く考察し、食材を生かす料理を作れるかどうかが、料理人の力量となる。つまり、必要最小限の的確な技術こそが求められている本質である。加えて言わせてもらえば、私にとってはその料理を、誰が、どういうシチュエーションで食べるかということが最も大切なのであり、その全てを考察した上で調理することを、私は「料理」と呼ぶ。