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(左)成澤由浩 Yoshihiro Narisawa NARISAWAオーナーシェフ(右)リシャール・ジェフロワ Richard Geoffroy Dom Pérignon醸造最高責任者
ドン ペリニヨン P2と
「テロワール」を味わう
Text Rie Nakajima
エネルギーのピークに達したドン ペリニヨンP2-1998を祝うため、期間限定で都内某所に登場した館「P2. MEET THE ULTIMATEDOM PÉRIGNON」。ここで披露された独創的なマリアージュを、NARISAWAのオーナーシェフ、成澤由浩氏とドン ペリニヨン醸造最高責任者のリシャール・ジェフロワ氏の対談とともに振り返る。
長い熟成の時を経て、今、そのエネルギーの最高潮を迎えたドン ペリニヨンP2―1998。この奇跡のようなシャンパーニュに合わせ、成澤由浩シェフが考案したのが「食べ手に自然の力を存分に吸収してほしい」との思いを込めた「イノベーティブ里山キュイジーヌ」によるエクスクルーシブなコースメニューだ。さまざまな自然を表現した料理の中で、ドン ペリニヨン醸造最高責任者のリシャール・ジェフロワ氏の心を捉えたのが「大地」と名付けられた料理の土のスープだという。「土を素材として使うというのは、私にとってひっくり返るような驚きでした。味わってみて、人生最大の感動の一つとなりました」
 材料の土は、長野県のそれより上には民家がない標高の高い場所でとられたものだ。生活排水が下りてこないことに加え、有機肥料も知られる限り与えられていない。これを土壌検査し、安全を確認して使用する。「土のスープには塩もしません。何もしなくても、無数の微生物、いわゆる有機の部分から塩分や旨みを感じられます。料理自体は以前に発表したものですが、今回のお話をいただき、P2のためにある料理のような思いがしました」と成澤氏。 
 シャンパーニュも、土から生まれ、土に帰っていくものだ。土に向き合う日常を送るジェフロワ氏は、「よくぞこの料理を加えてくれた」と称賛を惜しまない。成澤氏はこう続ける。「土を食すということは、あるメッセージでもあります。昔の人は山の中で五感を研ぎ澄まして歩き、そこに生えているものに毒がないか、常に危機感を持ちながら生きていました。現代人にはこんな心配がないので、どんどん鈍感になっている気がします」。これには「私も強く同意します」とジェフロワ氏。「個人的に、人類の近代史で最も大きな悲劇が、自然と人とを分断してしまったことだと思っています。自然との関わりを唯一、保つことができた文化があるとしたら、それは日本の文化です」
 成澤氏の「イノベーティブ里山キュイジーヌ」は、石川県の山野草、千葉県の空豆など、日本全国から集めた素材で構成される。「最近では、ほとんどのシェフが産地を気にかけています。でも成澤シェフは一歩進み、素材の本質を理解し、日本で最高峰の食材を集めていて、日本の万華鏡のように感じました」とジェフロワ氏。成澤氏は、「今回、ドン ペリニヨンとNARISAWAが出合ったのは、テロワールとテロワールの出合いだと思いました。シャンパーニュ地方の土の力を吸収してできたシャンパーニュと、日本人が持っている感性や文化との触れ合いなのかな、と。自然はそのままで真実。ドンペリニヨンはその自然という真実に沿って、曲げることなく抵抗することもなく、最高の作品に仕上げたもの。だから当初から、自然の食材を素直に使おうと考えた」と振り返る。「成澤シェフは同業者よりも深くドン ペリニヨンの真髄を理解してくださっています。こういう出合いが、私にとって人生の喜びですね」

●MHD モエ ヘネシー ディアジオ TEL03-5217-9732 www.domperignon.com
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