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国際日本文化研究センター教授 井上章一(いのうえ・しょういち)
1955年京都府生まれ。京都大学工学部建築学科卒業後、同大学院修士課程修了。京都大学人文科学研究所を経て現職。建築史・意匠論を専門とするほか、日本の美人論や関西文化論など風俗文化にも詳しい。『霊柩車の誕生』(朝日新聞出版)、『美人論』(リブロポート)、『阪神タイガースの正体』(筑摩書房)など著書多数。『京都ぎらい』(朝日新書)は、新書大賞2016を受賞。
「それでも、町家の保存には貢献している。自分たちではどうにもできなかったのだから、京都の洛中の連中が威張れる理由なんてないんですよ。それなのに、洛中の人間は、仕事で東京に行くことをいまだに『東下り』と言う。もう、負け惜しみと空威張りの塊ですよね」
 こう断じる井上さんにも、京都への裏の思いがある。
「文化庁を京都に誘致するという時、報道で洛中の歴々が霞が関に頭を下げる姿を見ました。ところが、文部科学大臣の馳浩には『熱意が足りない』と言い放たれたそうです。洛中の人々に対して『ざまあみろ』と思った半面、不愉快に感じている自分もいました。それで、私にも京都愛があるんだな、と気づいたんです。よくも悪くも、私にこんな複雑な感情を抱かせるのが、京都という街なんやと思います」
 これからの京都はどこへ向かっていくのか、と聞くと「観光客の需要に応えて、街を挙げてハウステンボス化していくのではないですか。寂しいことですけど」と嘆息する。
「あぁ、でもこの前、バーで元同志社大の学生で、今は退職されて、西部講堂が懐かしくて京都に来た、という方に会ったんですよ。60年代、西部講堂が一番輝いた頃の思い出が、今や観光アイテムになっているんだな、と。そうなったらもう、元全共闘に集まっていただいて、コスプレでヘルメットと手ぬぐいかぶって、機動隊のおじいさんとやりあってもらう、そんなツアーでも組んだら面白いかもしれませんね(笑)」
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