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そういえば昔パリで、「日本人はブランデーやウイスキーをなぜ水で割って飲むのだ。日本人は味をわかっていない」と言われ、恥ずかしさと悔しさで、黙ってしまったという経験があるが、今ならばはっきりと反論できる。
 蒸留したそれらの味わいは、私たちには暑苦しい味だからだ。リッチなおいしさよりも、涼やかな味わいを好むからだ。ルモンラッシェよりもソーヴィニヨンブランが好きだというのが本音で、飛行機の中で提供されるコンソメスープは、お湯を足して薄くして飲みたいと思っているのだ。逆に言えば、私たちはより淡い味の中でも、きちんと旨みを感じることができるのだと言いたいし、我々はその感性を恥じるよりむしろ自慢すべきだと思う。
 さて、夏の料理をご紹介する。私にとっての夏の味わいは、なんといっても蓴菜(じゅんさい)の食感から始まる。つるん、ぷりん、ぷちっとなんとも心地よいではないか。蓴菜はそれ自体には味はなく、味がないからこそ涼やかで良い。飲めるくらいの土佐酢で味わうのが定石だが、かんだでは、玉子豆腐や胡麻豆腐などの柔らかい料理に合わせて、食感のコントラストを味わっていただく。マイクロトマトや枝豆とともに、口の中でリズミカルな涼しさを感じさせてくれる。
鮎の清流すし はじかみと
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