
鯵の一塩造り 花穂紫蘇

神田裕行 真味只是淡
第二十二回
第二十二回
Photo Masahiro Goda
「元麻布 かんだ 」として始めた「日本料理かんだ」は、今年の5月で12周年を迎えた。多くの、本当に多くの方に支えられてきた奇跡のような12年だった。この場を借りて心より感謝の意を伝えたい。実は、正式名称を「日本料理かんだ」としている。こう変えたのは、開店から2年目の春。もともとは「日本料理というジャンルに縛られず神田がおいしいと思う料理を提供する」としたものを「いやいや、やはり日本人にしかできない日本料理で生きていきたい」と思い直したからである。
日本には、そして東京には、素晴らしい料理人がひしめいている。フランス料理を食べても、イタリア料理を食べても、そのレベルは決して本国に引けを取らないほどだ。日本人バンザイ! 日本の食材バンザイ!と心からそう思う。
何年か前にテレビ番組の収録で鳴門の漁師さんを訪ねた時のこと。「70歳で一人前」と言われる中でも、一番手と名高い76歳の漁師さんのご自宅で、鳴門鯛(なるとたい)の丸焼きをごちそうになった。なんとウロコも取らずにガスの火で丸焼きにするのだが、驚愕(きょうがく)の美味であったことを思い出す。鯛の料理を食べ尽くし、鯛の料理をし尽くしたつもりでいた自分が恥ずかしいと思った。
日本には、そして東京には、素晴らしい料理人がひしめいている。フランス料理を食べても、イタリア料理を食べても、そのレベルは決して本国に引けを取らないほどだ。日本人バンザイ! 日本の食材バンザイ!と心からそう思う。
何年か前にテレビ番組の収録で鳴門の漁師さんを訪ねた時のこと。「70歳で一人前」と言われる中でも、一番手と名高い76歳の漁師さんのご自宅で、鳴門鯛(なるとたい)の丸焼きをごちそうになった。なんとウロコも取らずにガスの火で丸焼きにするのだが、驚愕(きょうがく)の美味であったことを思い出す。鯛の料理を食べ尽くし、鯛の料理をし尽くしたつもりでいた自分が恥ずかしいと思った。