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そもそも穴子の煮詰めを、はまぐりの握りにつけるのも、はばかられるこの東京美食全盛期に、なんと時代錯誤な料理だろうと思うのである。まあ、おそらくはとても旨いのだろうが……。あくまで料理人としては、ふぐだけで旨いと言わせたい。
 ふぐは2月の白子がパンパンに入った2キロから3キロのものを下関から送ってもらっている。温暖化ゆえに“上モノ"は、駿河湾辺りのものらしいが、一度、九州で競りにかけられたほうが“いい値"がつくらしい。こうして計2回飛行機で旅をして手元に届いたふぐは、骨ごと一昼夜寝かせることにしている。ふぐに限っては、透明なぷりぷりの身よりほのかに白濁した頃合いに、旨みを強く感じるからだ。これにはポン酢より藻塩がよく合う。山葵(わさび)やもみ海苔(のり)を載せてもいい。これに冷やした鰭ひれ酒を合わせて味わうのが、今のところ最上のふぐだと感じている。
 添えてあるのは、小さく切って焼いた白子を冷ましたものと、ふぐ皮の唐揚げ。白子は小さく切って焼いてから冷ますと弾力があり、また甘みも増す。鉄刺に絡めるなら、肝よりこちらがおすすめである。
熟成ふぐの鉄刺
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