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白子の春巻き
だが、通説的に旬とされている季節とは違う時期に旨い魚もある。
 例えば、鰆は春の魚と書くが、晩秋の頃が最も脂がのっておいしいし、鯛も桜鯛が有名だが、これまた晩秋のもののほうが旨いと感じる。恐らくこの語彙(ごい)が生まれた時代は味わいの旬というよりは、大漁であることが旬であるという考えがあったのではと考察する。昔の漁法と今の漁業は、まったく別物であるゆえ。
 鱧も夏が旬だと思われているが、これもまた晩秋のもののほうが脂の質がいいし、骨も柔らかい。以前はそれでも世の慣例に従い、夏に使っていたが……。
 1860年より穏やかに始まった地球温暖化は、1995年より顕著となったが、食材の旬がこれにより変化していることにも着目したい。
 良米の北限は新潟から北海道まで北上したし、瀬戸内が北限とされた鱧や河豚(ふぐ)は駿河湾に姿を見せている。以前にも書いたように、作物も魚介もその生息域の北限が最も過酷ゆえ、良質なものが得られることが多いのだから、我々料理人もより考察を深めて旬を見極めなければならない時代になったということだ。
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