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(左上から)中国の椅子をもとにデザインした「曲木肘掛応接椅子(民賞椅子)」。畳擦りをやや曲げる工夫がある。/1932(昭和7)年に作られた「伸縮式中折傘木製電気スタンド」は、吉田のデザインの中でもロングセラー。/牛ノ戸焼の「緑釉黒釉染分皿」は、吉田の新作民藝の最初の傑作。そのデザインには装飾が少ない。/竹製ハンドバッグは、今持っていても、何の違和感もない普遍的であり、前衛的なデザインだ。/牛ノ戸焼の伝統を受け継ぎながら、たっぷりとした白い釉薬をかけ、低く安定感のあるデザインは用の美だ。/英国のホーム・スパンの毛糸のネクタイを手本に屑繭で紡いだ(ニニグリ)糸で作った「ににぐりネクタイ」。/果物ナイフ(上)とパン切りナイフ。中国の青竜刀のデザインをモチーフとしている。/黒地に白の模様が美しく入った「黒釉地白模様大鉢」は、中井窯のもの。昭和30年代ごろ制作された。/「挽物七味入れ」は美しい木目を生かした面白く使いやすそうなデザイン。制作年代、デザイン不詳。
その後軍医として中国に渡った吉田は、1947(昭和22)年に鳥取に帰郷すると、さっそく「鳥取民藝協団」「鳥取民藝協会」を設立し組織を次々と再構築。そして1949(昭和24)年、「鳥取民藝美術館」が創設され、1958(昭和32)年に耐震耐火の美術館として新築された。これこそが現在も鳥取市内に残る、白壁に浅ノ井瓦の風情ある美術館だ。 
 さらに1962(昭和37)年には、美術館の隣に「たくみ割烹(かっぽう)店」をオープンする。この店について吉田は「民藝品を使用する機会の最も多い食事の場合を利用して、生活して美を味わう」と語り、民藝品をただ陳列するのではなく、実際に活用し動いている姿を見せるための“生活的美術館"と位置付けた。店で出される料理にも民藝的要素を持たせ、自らが考案した鳥取和牛を使ったしゃぶしゃぶの原形「牛肉すすぎ鍋」を提供。この味は現在も受け継がれている。かくして鳥取民藝美術館、たくみ工芸店、たくみ割烹店が並ぶ民藝コーナーが誕生した。ここを訪れる者は、美術館で品物に触れ、割烹店で実際の使い勝手を確かめ、気に入ったものを工芸店で買うという、民藝品の魅力を五感すべてで堪能できる場所となっている。
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