


(上)鳥取駅北口前の「すなば珈琲」は、時には行列ができるほど、にぎわっている。現在、鳥取市内に3店舗ある。
(左)店の看板はもちろん砂丘のイラスト。“砂コーヒー豆”は火の通りが均一のため、味わいが深くなるそうだ。
(右)鳥取砂丘の砂で焙煎(ばいせん)した“砂コーヒー豆”を使ったコーヒーをサイホンでいれている。
(左)店の看板はもちろん砂丘のイラスト。“砂コーヒー豆”は火の通りが均一のため、味わいが深くなるそうだ。
(右)鳥取砂丘の砂で焙煎(ばいせん)した“砂コーヒー豆”を使ったコーヒーをサイホンでいれている。
ところで以前、鳥取県に日本で唯一、スターバックスコーヒーがないことについて、平井伸治(しんじ)鳥取県知事が「鳥取にはスタバはないが、日本一のスナバ(砂場)がある」と言ったことが話題となった。この発言をもとに、地元企業がオープンさせたのが「すなば珈琲(コーヒー)」である。市内に3店が営業しており、1号店は鳥取駅北口から徒歩1分の場所にある。砂丘の砂で焙煎(ばいせん)した、砂コーヒー豆を使ったサイホン珈琲が好評で、店内には市民はもちろん、県外からの観光客でにぎわう。現在では市内にスターバックスコーヒーも開店したが、今でも鳥取ブランドとして健在だ。
この「すなば珈琲」だけでなく、市内を歩いていると、どこか懐かしい、鳥取らしさ、といったものを感じさせる店や風景に出合う。特徴として、やはり仁風閣(じんぷうかく)や鳥取砂丘の保護活動に携わった民藝運動家、吉田璋也(しょうや)の存在があるだろう。地元に多大な貢献をした吉田の遺志を受け継ぐ職人たちとその作品が息づく鳥取は、今も昔も変わらない、ものづくりの町である。
特に、吉田が設立した鳥取民藝美術館が立つ民藝館通りには、吉田が開店した民藝店「たくみ工芸店」があり、因州・中井窯、延興寺窯、山根窯など、県内の窯元による陶器や、吉田がデザインした木製電気スタンドなどを見ることができる。民藝の器や家具に囲まれて、名物のカレーや、鳥取和牛を使った「牛肉すすぎ鍋」が味わえる「たくみ割烹(かっぽう)店」があるのもこの通りだ。
関東以北には、鳥取と聞くと砂丘しか思い浮かばないという人も多いことだろう。しかし、実際には文人たちの歌碑が残る鳥取砂丘の日本随一の風景とともに、豪奢(ごうしゃ)な明治建築の仁風閣、ものづくりの町が生んだ民藝品・工芸品など、旅人をさまざまに楽しませてくれる地だ。山陰に眠る、知られざる美や文化に出合える、鳥取を訪れてみたい。
この「すなば珈琲」だけでなく、市内を歩いていると、どこか懐かしい、鳥取らしさ、といったものを感じさせる店や風景に出合う。特徴として、やはり仁風閣(じんぷうかく)や鳥取砂丘の保護活動に携わった民藝運動家、吉田璋也(しょうや)の存在があるだろう。地元に多大な貢献をした吉田の遺志を受け継ぐ職人たちとその作品が息づく鳥取は、今も昔も変わらない、ものづくりの町である。
特に、吉田が設立した鳥取民藝美術館が立つ民藝館通りには、吉田が開店した民藝店「たくみ工芸店」があり、因州・中井窯、延興寺窯、山根窯など、県内の窯元による陶器や、吉田がデザインした木製電気スタンドなどを見ることができる。民藝の器や家具に囲まれて、名物のカレーや、鳥取和牛を使った「牛肉すすぎ鍋」が味わえる「たくみ割烹(かっぽう)店」があるのもこの通りだ。
関東以北には、鳥取と聞くと砂丘しか思い浮かばないという人も多いことだろう。しかし、実際には文人たちの歌碑が残る鳥取砂丘の日本随一の風景とともに、豪奢(ごうしゃ)な明治建築の仁風閣、ものづくりの町が生んだ民藝品・工芸品など、旅人をさまざまに楽しませてくれる地だ。山陰に眠る、知られざる美や文化に出合える、鳥取を訪れてみたい。