

時代を読む――原田武夫 第101回
原田武夫
あなたには「次の時代」に向けた胎動が聞こえるか?
最近、社会情報科学という学問を学んでいる。平たく言うと「経済物理学」とその周辺であり、伝統的な統計学の知見の上に1990年代後半から盛んになった研究を積み上げたものと言えばいいだろうか。対象を経済だけではなく、政治も含め、「計算社会科学」というディシプリンがいよいよ立ち上げられてきているとも聞く。いずれにせよ、冷戦構造が崩壊し始めたばかりの1990年代初頭にキャンパスライフをまずは送った筆者の世代からすると、全くもってなじみがない領域であるのは間違いない。
このコラムでもしばしば触れてきていることだが、「未来をあらかじめ知る」ということは莫大な富と強大な権力を手にすることに等しい。アカデミズムにおける社会情報科学の担い手たちはおよそそうした野心に満ちあふれているとは見えない。しかし、こうした富と権力、そして社会情報科学の間の密な関係は疑いようもない事実なのである。
もっと細かなことを言うと、そこで皆が関心を寄せているのは「点過程の時系列解析」と呼ばれる作業だ。異なる時点に生じるイベントがあるとする。まずそれらの間で相互に関係があるのかないのかを詰めなければならない。同時に発生するタイミングが周期的なのかどうかも気になるところだ。また直近に起きた出来事と今・ここで起きている出来事が関係しているとすると、それぞれが持つインパクト、あるいはマグニチュードが一体どれくらい関係しているのかも重要な要素なのだ。
このコラムでもしばしば触れてきていることだが、「未来をあらかじめ知る」ということは莫大な富と強大な権力を手にすることに等しい。アカデミズムにおける社会情報科学の担い手たちはおよそそうした野心に満ちあふれているとは見えない。しかし、こうした富と権力、そして社会情報科学の間の密な関係は疑いようもない事実なのである。
もっと細かなことを言うと、そこで皆が関心を寄せているのは「点過程の時系列解析」と呼ばれる作業だ。異なる時点に生じるイベントがあるとする。まずそれらの間で相互に関係があるのかないのかを詰めなければならない。同時に発生するタイミングが周期的なのかどうかも気になるところだ。また直近に起きた出来事と今・ここで起きている出来事が関係しているとすると、それぞれが持つインパクト、あるいはマグニチュードが一体どれくらい関係しているのかも重要な要素なのだ。