
食材豊富な「豊の国」 大分・豊後水道
Text Photo Masahiro Goda



(右上)大分では良質で肉厚で香りの良い椎茸を産するクヌギにこだわっている。
(右下)国東市で大規模な椎茸専業農家を営む野田徹城さん(写真中央)。
(右下)国東市で大規模な椎茸専業農家を営む野田徹城さん(写真中央)。
古く大和朝廷から「豊とよの国」と呼ばれていたという大分県は、山・川・海のおりなす豊かな自然の中で、多くのすばらしい山の幸・郷の幸・海の幸を産している。多彩な表情を持つ大分の海の中でも、とりわけ豊後水道は高名。魚の商標登録第1号、関あじ・関さば。その名が全国区で知られるようになって、早二十年の時が流れた。
大分・佐賀関と愛媛・佐田岬の間の海域―「速吸(はやすい)の瀬戸」の異名をとる豊予海峡は、最も幅の狭い所はわずか14㎞しかなく、海底は起伏に富み、激しい海流が渦巻く特異な地形だ。その荒波のおかげで、本来は回遊するアジやサバは居ながらにして十分過ぎる運動量が得られる。定住することにより、交雑せずに“おいしいDNA"がそのまま受け継がれてきたのだ。しかも漁は、魚にとってストレスになる網取りではなく一本釣り。筋肉質な身に上品な味わいを秘めた関あじ・関さばがブランド魚たる地位を確立したゆえんである。
大分・佐賀関と愛媛・佐田岬の間の海域―「速吸(はやすい)の瀬戸」の異名をとる豊予海峡は、最も幅の狭い所はわずか14㎞しかなく、海底は起伏に富み、激しい海流が渦巻く特異な地形だ。その荒波のおかげで、本来は回遊するアジやサバは居ながらにして十分過ぎる運動量が得られる。定住することにより、交雑せずに“おいしいDNA"がそのまま受け継がれてきたのだ。しかも漁は、魚にとってストレスになる網取りではなく一本釣り。筋肉質な身に上品な味わいを秘めた関あじ・関さばがブランド魚たる地位を確立したゆえんである。