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テーブルにズラリ並んだ約30種類の日本の酢を前に、3人の話は弾む。次々とテイスティングしながら、「知覚過敏の歯にしみる」「胃酸が逆流してくる」なんて声も。しかし、味わう時の顔は真剣だ。
酢談議
国境の壁を越えるか
Photo TONY TANIUCHI(P1-2)Satoru Seki
Text Junko Chiba
西欧のビネガーと日本の米酢―同じ酢でも、原料が違えば味わいも異なる。
日本の酢を西洋料理の調味料として使った時、どんな“化学反応”が起きるのか。
米酢に加えて赤酢、黒酢、果実酢など、バリエーションが広がってきた日本の酢をめぐり、
フレンチの飯塚隆太、イタリアンの本多哲也、ソムリエの若林英司の3氏が、試飲しながらの“酢談議”で盛り上がった。両者のマリアージュには“越えられない国境の壁”があるのか・・・・・・
「フレンチ・イタリアンの料理に日本の酢を使ってください」
 飯塚・本多両シェフはこのリクエストに頭を抱えた。西洋のビネガーなら手慣れたものだが、「日本の酢」という縛りがあると、そう簡単にはいかないらしい。

鋭い味が出せない……

―普段、米酢は使いませんか。
飯塚 フランスとスペインのビネガーを10種類ほど使っていますが、米酢はないですね。全体的にまろいじゃないですか。やさしいんですよね。その分、アタックが弱くて、例えば赤ワインビネガーで肉にピンと一本強いアクセントをつける、というふうに使えない。鋭い味が出せないんです。正直言って、ソースを作る概念の中で、米酢という選択肢は考えつきませんでした。
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