世界の贅沢、NILEの贅沢

男爵薯とメークインの牙城に挑む

ジャガイモの品種は世界に2000以上！　日本では伝来地の北海道と長崎を中心に約20種類が栽培されている。代表格は男爵薯（いも）とメークイン。100年以上食べ続けられている“怪物ブランド"である。
　生産高ナンバーワンを誇る男爵薯が導入されたのは1908（明治41）年。函館船渠（せんきょ）（現・函館どつく）の専務を務めた男爵・川田龍吉（りょうきち）がアイリッシュ・コブラ―という品種を自営の農場に取り入れたのが始まりだ。その裏に潜むのは男爵の恋物語。スコットランド留学中に恋人とデートを重ねた馬鈴薯畑の風景や、街角で頬張った焼きジャガイモの味……男爵は過ぎし日の熱い思いと、約束の結婚を果たせなかった切なさをジャガイモづくりに結実させたのかもしれない。
　それはさておき、ジャガイモ最前線では「男爵薯とメークインの牙城（がじょう）に挑む」がごとく、新品種の開発が盛んに行われている。その中でジャパンポテトは「世界４位のフランスの育苗会社ジェルミコパ社を中心とする海外の新品種を導入して日本に広める」活動を展開する特異な種苗販売会社だ。