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《鬼の行水》日本民藝館蔵
もうひとつの江戸絵画
「大津絵」の魅力
文化人が争奪戦を繰り広げた名品が集結
「大津絵」をご存じだろうか。江戸時代初期から東海道の大津宿の周辺で量産された絵画なのだが、いわゆる有名どころの画家の作品ではなく、手軽な土産物として量産されたもの。ユーモアで温かみのある絵柄で広く流通したものの、現存する数は少ない。
 そんな大津絵が近代になり、突如脚光を浴びる。文人画家の富岡鉄斎、洋画家の浅井忠、民藝運動創始者の柳宗悦など、当代きっての審美眼の持ち主たちがその魅力の虜になり、こぞって買い集め、そのムーブメントは太平洋戦争後も続いた。
 これまで大津絵の展覧会は博物館や資料館で開かれることが多く、美術館で開催されたことはほとんどない。それは大津絵が歴史・民族資料として捉えられていたから。
 本展では大津絵を美術として捉え直し、狩野派でも琳派でもない、若冲など奇想の系譜でも、はたまた浮世絵でもない、もう一つの江戸絵画としての魅力に迫る。近代日本の目利きたちによる旧蔵歴が明らかな、いわば名品揃いの大津絵のみ約150点を展示する。旧蔵者こだわりの掛け軸の表装も見所の一つ。江戸の庶民に親しまれ、近代の文化人たちを魅了した大津絵を存分に堪能したい。

『大津絵展』
会場:東京ステーションギャラリー
会期:9月19日(土)~11月8日(日)
休館日:月曜日(11月2日は開館)
開館時間:10:00~18:00(金曜~20:00)
TEL:03-3212-2485 www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202008_otsue.html

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