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若竹椀
筍の味わいを年ごとに強く感じる。年を取らねば理解できない味というのもあるのかもしれない。
元麻布 かんだの旬椀
―春~初夏
Photo Masahiro Goda Text Hiroyuki Kanda
毎日調理場に立ち、旬の食材を選び、その食材と向き合う様は、宮本武蔵の「朝鍛夕錬」に通ずるものだ。
神田裕行さんの思いが込められた「旬椀」3品を紹介する。
筍(たけのこ)について最近ふと思うことがあった。筍の美味は穂先にあり、そのコーンのような香りとほのかな甘さこそが魅力であると思っていたが、近頃はもっぱら根元にこそ旨(うま)みを感ずるのだ。ただしこの“旨み"はもともと私が筍に求めていた、あるいはそれこそが旨みであると思い込んでいた「甘いおいしさ」ではなく、もっとミネラルに由来するような、グルタミックな旨みなのだ。
 “グルタミックな旨み"とは、人間が根幹的に必要としているビタミンやミネラルを知覚した味わいであり、他にホワイトアスパラガスや、こごみ、わらび、たらの芽などの全ての根元に共通するものである。旬の筍と若布(わかめ)を組み合わせた“若竹椀"は春の定番ではあるが、その相性の良さは、凡百の創作料理を寄せ付けない。
やはり春はこの椀から始めたい。
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