
伝統的な手法である“筆跡(ブラシストローク)”を用い、立体となったのが“OUT OF BOUNDS(アウト・オブ・バウンズ)”シリーズ。この作品「SOULFLIGHT」は、ストリートアートのグラフィティ/タギング(街中にスプレーペンキで描かれた落書きの一種)の線の動きを集めてリサーチし、それを解体して再構築している。

迸る“メグル・ブルー”
Text Rie Nakajima
古くから時代や国を超えて存在する“筆跡(ブラシストローク)”の手法を用い、筆跡それ自体を立体的に表現した独自の作品を生み出す、現代美術家・山口歴氏。ニューヨーク・ブルックリンにアトリエを構え、ユニクロ、ナイキ、イッセイ ミヤケなど多数のブランドとコラボレーションする気鋭のアーティストの作品を、特別に誌上で注文販売する。
筆跡(ブラシストローク)をカットしてコラージュさせていく、“カット&ペースト"と呼ばれる独自のスタイル。キャンバスを飛び越え、立体的に表現された筆跡が、高く評価される鮮烈な色彩感覚とあいまって、他の誰にもまねできない先鋭的な個性を生み出す。彫刻とも絵画とも異なるその作品は、実物と対峙(たいじ) して初めて、迸(ほとばし)るようなエネルギーと研ぎ澄まされた感性に全身が麻痺(まひ)するような衝撃を覚える。