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(左)かつて、湯浅の醤油の積み出し埠頭(ふとう)だった大仙堀。石積みの堀沿いには、今なお醤油蔵が立っている。湯浅の醤油は、ここから全国へと運ばれていった。
(右)170年以上使われている木桶が並んだ角長の醤油蔵。天井や壁には伝統的な醤油造りに欠かせない酵母が付着している。角長7代目の加納恒儀さんが櫂入れをする。
和歌山県の中部、紀伊半島の西岸に位置する湯浅の町は、山田川の清流を利用した醤油造りで栄えた。1804~18(文化年間)には92軒もの醤油醸造元が営業していたという。その頃の趣を今に残す湯浅伝統的建造物群保存地区にある角長では、創業以来の伝統的な製法で、今日も早朝から醤油造りが始まっている。
 大豆を蒸し、小麦を煎って砕いたものに、種麹菌を混ぜ合わせて、4日間かけて麹菌を繁殖させる。その後、塩、水と合わせてもろみを造り、1年半から3年半をかけ、発酵の具合に合わせて攪拌しながら熟成させていく。雑菌が少なく、気温が低いためにゆっくりと発酵が進む冬に仕込み、夏場の発酵の最盛期を経て、十分に味と香り、色合いを引き出す。そして、搾ったものが“ 生揚げ"(生醤油)。これを清澄させて和釜に移し、火力の強い赤松の薪で約半日、ゆっくりと炊き上げるのが、江戸時代から続く角長の製法だ。
 1841(天保12)年創業の角長は、現在も湯浅たまりと言われる伝統製法を守り続ける数少ない醤油醸造の老舗。工程はいたってシンプルといえるが、櫂入れ、火入れなどの各過程に労力と長年の経験に基づくコツが必要な醤油造りの中で、角長が最もこだわっているのは、創業以来使っている仕込み蔵である。
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