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「カニご飯は、米を出汁で炊き、蒸らす時に生姜を散らして、焼いたカニを載せます。そうすると、カニの殻からご飯にうまみがしみて、複合的なおいしさが出ます。最後にほぐした身を、茶碗のご飯の上にこんもり盛ります。すり流しは、湯葉豆腐と炭焼きしたフグの白子に、カニの身を一番出汁で煮て、葛粉でとろみをつけた汁をかけたものです。アマダイとかタラの白子も考えましたが、やっぱりフグでしょうと。カニと並ぶ冬の味覚の王様ですからね」
 パリの店ではトゥルトゥーガニを使って茶碗蒸しやあんかけ、炊きこみご飯にしておいしいけれど、「日本の越前がにのようなカニがあればメニューが広がる」と残念そう。
 奥田は言う、カニの繊細な味わいは夏の鱧に似ていると。

●銀座 小十
東京都中央区銀座5-4-8 カリオカビル4F
TEL03-6215-9544 www.kojyu.jp

※写真キャプション:
(左から)
■蒸しセイコガニ
上海ガニのような内子のねちねちっとした感じと、身の淡泊にして繊細な味わい、外子のプツプツした食感が口の中で混ざり、複雑なおいしさを生み出す。この形で温かくして出すのは、小十ならでは。
■越前がにご飯
同じ土鍋で炊いたカニご飯でも、ほぐした身を混ぜるのではなく、その前に焼いたカニを殻ごと載せて蒸らすのが奥田流。殻に潜むうまみをも逃さず平らげる喜びといったら……! ご飯の上の“カニの身の山"がまた、食す者の興奮を呼ぶ。
■越前がにのすり流し
玉子豆腐ではなく湯葉豆腐、魚ではなくフグの白子が、越前がにのすり流しと一体化して贅沢な味わいを醸す。ちょっと焦げ目のついたフグの白子が焼いた餅のようで、また白を基調にしたやさしい色合いが、見た目も愛らしい。
■焼き越前がに
たっぷり2杯分の蒸したカニみそを裏ごしし、煮切り酒と合わせてソースに。「ものすごく繊細な身と、ものすごく濃厚なみそがセットになっているというのが、僕には身をみそで食べなさいというカニからのメッセージのように聞こえますね」と奥田。
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