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松茸と唐墨ごはん
日本料理における、晩秋の味覚のハイライトは、なんといっても新米である。
 稲の香り豊かな新米は、炊き立てであれば何も添えずにただ瞠目して味わいたい日本のソウルフードだ。ここでは松茸ごはんに仕立てた。
 本来なら新米に塩など必要ないが、松茸をうまく感じていただくために、炙り唐墨で塩気を加えてある。少々力技な感の料理で新米に申し訳ないが……。
 やはり秋の献立はいろいろ悩みが多過ぎる。うま過ぎるものにはキレがなく、豪華過ぎるのも暑苦しい。まったく日本人の感性は素晴らしいものだ。しかし表現するのが難しいと痛感する。
 冒頭の句は芭蕉だが、芭蕉も俳句のキレを肝要としたらしい。いや、キレがあるからこそ、短い言葉で大きな情景が表現できたのだろう。キレとはつまり「すき間」とか「空間」を含む「間」なのかもしれない。
 どうやら、俳句に学ぶことが多いと感ずる歳になってきたようだ。これについては、少々残念なのではあるが……。

●元麻布「かんだ」 東京都港区元麻布3-6-34 カーム元麻布1F TEL03-5786-0150

※今月の食材
鯛 徳島県鳴門産
白トリュフ フランス産
松葉蟹 島根県産
柿 奈良県産
松茸 中国産
唐墨 長崎県産
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