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舘鼻則孝(たてはな・のりたか)1985年東京生まれ。東京藝術大学では絵画や彫刻を学び後年は染色を専攻。花魁に関する文化研究とともに日本の古典的な染色技法である友禅染を用いた着物や下駄の制作をする。現在はアーティストとして、国内外の展覧会へ参加する他、日本の伝統工芸士とのプロジェクトにも勢力的に参加。作品は、ニューヨークのメトロポリタン美術館やロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館など、世界の著名な美術館に永久収蔵されている。
(左)現代版煙管を表現した“Theory of the Elements”は、当時花魁たちも愛用していた煙管から発想を得た
現代版煙管や生けるドクロを初披露した面目と続行展
Photo Satoru Seki Text Nile’s NILE
花魁の高下駄に着想を得た
“ヒールレスシューズ”で
有名なアーティストの舘鼻則孝氏が、
新作・未発表作含め約30点を展示する
「面目と続行」展を開催。
JTのRETHINK TOBACCOに
共感して制作した銀製の煙管も含めた
作品に対する意図・思想について語った。
時代の変化を形にして残していくことがアーティストの仕事と呼べるのではないか」
 舘鼻氏がそんな思いで表現した世界観が、“ヒールレスシューズ"や今回のメーン展示でもある現代版煙管(きせる)を表現した“Theory of the Elements"にみてとれる。大学時代に花魁(おいらん)文化の研究をしていた舘鼻氏は、花魁が履く高下駄から“ヒールレスシューズ"の発想を得ているが、JTの電気加熱式たばこ用具「プルーム」を見たとき、現代における花魁の煙管のようだと感じたという。
 「明治時代の煙管は伝統工芸を用いて金銀の細工が施されたり漆が塗られたりと、それ自体がファッションであり、持っているだけで格好いい、パーソナルなアイテム。大量生産・大量消費の現代において、この作品は一吸の特別感を演出するということに挑戦したと言えるでしょう」
 日々の行為の中に、プレミアムな感覚を持ってほしいという思いが込められた作品だ。
 この他、特に強い衝撃をもって迎えられたのが、自身の身体を3Dスキャンして骨のデータのみを抽出して制作した真鍮(しんちゅう)製のドクロ“Traces of a Continuing History"
 「東日本大震災で感じた死への恐怖を拭い去るため、死ぬということを一度認識したい」と思ったのが制作のきっかけだという。  
 創作活動はアーティストにとっては治癒に近い、という舘鼻氏の今後の作品に注目したい。

●NORITAKA TATEHANA www.noritakatatehana.com
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