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鳴門鯛のお頭 醤油焼き
鯛の頭を食べる魅力は、その味わいの多様性だろう。頬肉、唇、そして目の周り。一口ごとに違う味わいが食べる者を夢中にさせる。
神田裕行 真味只是淡
Photo Masahiro Goda 文・神田裕行
元麻布かんだ 第三回
おいしい鯛の話をしよう。
 鯛は日本料理を象徴する魚だ。
 お造りにして最上の白身。頭を使った兜焼きやあら炊きは、日本料理店において最上の料理として長く愛され、その中骨や内臓類さえも料理人の腕次第で見事な酒肴となる。
 しかし実は、鯛は日本以外の国では人気のない魚だ。なぜなら、おいしくないから。地中海でも、ブルターニュでも、タスマニアでも取れるが、決して高級魚としてではなく、むしろ下魚として流通している。どうしてだろうか? 
 鯛は川が育てているというのが私の持論だ。厳密に言えば川の源泉のミネラルと、川が海に運ぶ腐葉土を含むアレやコレやということになるのだろうが、とにかく良い川の流れ込む海、しかもそこが海流の影響の少ない、つまりは山の栄養がとどまりやすい内海や湾の中でこそ、良い鯛が育まれているのである。
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