それらを勘案したうえで売価が決められるのだから、安いものには必ずワケがある。どこかで原価を抑えているので、そのベースとなるのが食材だということは、衆目の一致するところ。となればリスクを伴って当然なのである。
「安物買いの銭失い」
昔の人はうまいことを言ったものである。高いものにはそれなりの理由があり、安いものもしかり。それを心得た上で選び分け、時に応じた〈食〉を楽しめばいい。
狭い国土ということもあり、我が国の食料自給率は極めて低い。いきおい他国に頼らざるを得ない部分もあるのだが、今後は自国で賄えるよう、官民あげて態勢を整えて欲しい。あくまで素人考えだが、システムを構築すれば、そう難しいことではないような気がする。それ相応の利益が上がるようにすれば、食材を生み出す仕事に従事する人は増える。要は需要に見合うだけの食材を供給すればいいのだから。
さすれば、需要の方を見直すのも一法ではないだろうか。
それには廃棄率を極力抑えるのが至上命題となる。無駄な食べ残しを抑えるだけでも、相当な効果があるはずだ。
まずは食べ放題などという、愚かなシステムを放棄するのが先決である。
食べ放題は、果たして他の国で、我が国ほど浸透しているのだろうか。さほど多くない、僕の海外経験でも、めったに見掛けなかった。
どれだけ食べても同じ値段だから、食べなきゃ損だとばかり、浅ましいほどに皿に載せる。それを食べ切るのならまだしも、平気で食べ残す。食べ放題の店は、その多くがファミリー客をターゲットにしているから、家族連れが多い。本来であれば、こういう場こそ、食育に適しているのだが、平気で食べ残す親を見て、子供がどんな育ち方をするか、言わずもがなであろう。
元来、ビュッフェスタイルは、自分の好きなものを選んで食べる、というシステムとして始まったもの。それがいつしか、いくらでも食べていい、という形に変わってしまった。
時間制限があるせいか、我先に料理を奪い合い、山盛りの皿に背を丸め、犬食いする姿は見苦しい以外の何物でもない。食の作法という観点からも、食べ放題禁止令を発令すべきである。
「安物買いの銭失い」
昔の人はうまいことを言ったものである。高いものにはそれなりの理由があり、安いものもしかり。それを心得た上で選び分け、時に応じた〈食〉を楽しめばいい。
狭い国土ということもあり、我が国の食料自給率は極めて低い。いきおい他国に頼らざるを得ない部分もあるのだが、今後は自国で賄えるよう、官民あげて態勢を整えて欲しい。あくまで素人考えだが、システムを構築すれば、そう難しいことではないような気がする。それ相応の利益が上がるようにすれば、食材を生み出す仕事に従事する人は増える。要は需要に見合うだけの食材を供給すればいいのだから。
さすれば、需要の方を見直すのも一法ではないだろうか。
それには廃棄率を極力抑えるのが至上命題となる。無駄な食べ残しを抑えるだけでも、相当な効果があるはずだ。
まずは食べ放題などという、愚かなシステムを放棄するのが先決である。
食べ放題は、果たして他の国で、我が国ほど浸透しているのだろうか。さほど多くない、僕の海外経験でも、めったに見掛けなかった。
どれだけ食べても同じ値段だから、食べなきゃ損だとばかり、浅ましいほどに皿に載せる。それを食べ切るのならまだしも、平気で食べ残す。食べ放題の店は、その多くがファミリー客をターゲットにしているから、家族連れが多い。本来であれば、こういう場こそ、食育に適しているのだが、平気で食べ残す親を見て、子供がどんな育ち方をするか、言わずもがなであろう。
元来、ビュッフェスタイルは、自分の好きなものを選んで食べる、というシステムとして始まったもの。それがいつしか、いくらでも食べていい、という形に変わってしまった。
時間制限があるせいか、我先に料理を奪い合い、山盛りの皿に背を丸め、犬食いする姿は見苦しい以外の何物でもない。食の作法という観点からも、食べ放題禁止令を発令すべきである。

かしわい・ひさし
1952年京都市生まれ。京都市北区で歯科医院を開業する傍ら、京都関連の本や旅行エッセイなどを数多く執筆。2008年に柏木圭一郎の名で作家デビュー。京都を舞台にしたミステリー『名探偵・星井裕の事件簿』シリーズ(双葉文庫)はテレビドラマにもなり好評刊行中。『京都紫野 菓匠の殺人』(小学館文庫)、『おひとり京都の愉しみ』(光文社新書)など著書多数。
1952年京都市生まれ。京都市北区で歯科医院を開業する傍ら、京都関連の本や旅行エッセイなどを数多く執筆。2008年に柏木圭一郎の名で作家デビュー。京都を舞台にしたミステリー『名探偵・星井裕の事件簿』シリーズ(双葉文庫)はテレビドラマにもなり好評刊行中。『京都紫野 菓匠の殺人』(小学館文庫)、『おひとり京都の愉しみ』(光文社新書)など著書多数。