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(左)太刀魚袱紗焼き
太刀魚には塩を振らず卵にのみ塩気を加える。そうすることで、よりふっくらとコントラストが鮮明になる。
(右)蒸し鮑薄造り
きゅうりは薄くそぎ、軽く塩をあて絞り上げ、薄味で炊いておいた芋茎と共に、漬け汁にわさびとのり、すだちであえて鮑の下に敷く。
太刀魚は長年の懸案事項だった。10年来毎年、夏になると買っては試作し、結局納得できずいつもまかないで食べていたが、今年になってようやくお客さまに出せる料理が生まれた。太刀魚はふっくらとした箸当たりで、口に入れるとトロリとする食感が好ましい。このためには3枚に下ろさず筒焼きにするのが好ましいが、小骨がうるさくなってしまう。この料理は太刀魚の卵を下ろした身に張り付けて焼くことで、炭焼きによる脱水を防いでふっくら感を残しながらも、卵の香ばしく焼けた香りとうまみを重ねることに成功した。
 鮎は、結局塩焼きにとどめをさすが、その塩焼きのうまさの味わい方には変化球も可能だ。焼いた鮎はすこぶるよい出汁を出す。それを米に染み込ませて炊くのだから、いわば「間違いのない料理」だ。初夏の小芋は繊維が柔らかいので生のまま入れると良い。むっちりとした食感が焼いた鮎と好対照だ。
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