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まな板に横たわる淡路島産の800gの鱧。本多によると「淡路や愛媛のいい鱧は臭みも身の柔らかさも違う。包丁がスッと入って、身がひとりでに開いてくれる感じがある」という。

ほんだ・てつや
1968年神奈川県小田原市生まれ。84年東京調理師専門学校を卒業後、「リストランテ トゥーリオ」等で修業し、97年に渡伊・渡仏。イタリアの三つ星レストラン、「アンティカ・オステリア・デル・ポンテ」等で修業し、99年に帰国。「リストランテ・アルポルト」の副料理長を経て2004年に「リストランテ ホンダ」をオープン。素材本来の風味・香り・食感・彩りを生かした料理に腕をふるう。現在、『ミシュランガイド東京』で一つ星を獲得。
発想の元は、マントバの郷土料理、鰻の赤ワイン煮込みだそうだ。
 もう一品は、カルチョーフィのローマ料理から発想したもの。カルチョーフィを器に、鱧の食道、腸、レバーなど全内臓を詰め、オーブン焼きにする。その上に鱧の身の素焼きをのせ、エスカルゴバター、タイムをかける。内臓の新鮮で濃厚な味わい、ローストしたトマトの酸味、それにアーモンドプードル入りのエスカルゴバターの香ばしさが、鱧の身のふわふわ感と絶妙のハーモニーを奏でる。「バリバリと葉をちぎりながら食べるところとか、イタリアンぽくて斬新でしょう?」と、本多は会心の笑みを浮かべる。
「この2品に行き着くまでには、いろんなアイデアが出ました。例えば和っぽくコンソメ仕立てのオープンラビオリがいいかなとか。あと、万願寺唐辛子を使ったり、鱧のフリットをあえたパスタも作ってみましたが、味がバラバラでイマイチ。かといって、アンチョビや鮎の魚醤を使うと、鱧が死んじゃう。ずいぶん悩みました。でも、その試行錯誤がまた楽しかったんです」――「鱧に目覚めた」という本多は、これから鱧料理を店の旬のメニューに加えていきたい考え。いかなる“鱧イタ"が生まれるか、今から楽しみである。

●リストランテ ホンダ
東京都港区北青山2-12-35 1F
TEL03-5414-3723 ristorantehonda.jp
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