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(左)カルチョーフィと鱧のオーブン焼き
鱧は下ゆでしてサラマンダーで遠火で焼いたもの。カルチョーフィの葉の芯に近いところについた“鱧の身と内臓バター”をしゃぶり尽くしたい。見た目も食べ方もワイルドな一品である。
(右)鱧の赤ワインソース 木の芽のタリアテッレ添え
「まだまだ厚いと思うんですけど」と謙遜するが、骨切りした鱧はまさに真っ白いボタンの花のように美しい。骨切りを経験した本多は「和包丁に目覚めた」とか。「あと出刃、柳刃、牛刀の最低3本が欲しい」と言う。
鱧引きとカルチョーフィの融合
リストランテ ホンダ 本多哲也
10年ほど前の夏、神楽坂の懐石「小室」で鱧と松茸尽くしの料理を食べた時、「鱧って、こんなにうまいのかと感動した」と言う本多。以来、この時期には必ず鱧を楽しんでいるが、それだけに「鱧は和食の聖域」との意識が強かったそうだ。
「挑戦したいけど、中途半端に手をつけちゃいけないと思って。でも今回、『これをチャンスに正面から向き合ってみよう』と腹をくくりました」
 本多はまず、「とにかくきれいに下ろす」ことに集中。骨切り包丁を手に入れてから約2週間、毎日2本の鱧を使って練習を重ねた。
「勉強してみると、下ろし方は人、店によって全然違いました。僕は、斜め45度にざくっと包丁を入れてスッと返す感じで。ただ、鱧特有の泥臭さも残したいと思い、70℃のお湯につけて薄皮を取ることはしませんでした。いやあ、苦労しましたね。特に中骨をどこまで落とすかに。ちょっと間違えると、骨が残ったり、皮まで切れたりで、なかなかうまくいかないんですよ」
 台風で入手困難になった鱧を「ムリクリ手配」して骨切りに格闘する中、本多は「鱧に合わせるソースは赤ワインソースにしよう」と決めた。鱧を下ろした残りの骨と香味野菜を赤ワインに1日漬けて汁ごと煮込み、途中で赤ワインを足してさらに煮詰める。八角やコリアンダー、タイム、ディル、パセリ等も入ったスパイシーな味わい。このソースを葛を打って塩水でボイルした鱧にかける。
「この赤ワインソースと、青梅のモスタルダ(マスタードを効かせたシロップ煮)をアクセントにして、鱧の川魚っぽい風味を調和させました。あと、和的な要素として、木の芽をそのまま練り込んで伸ばしたタリアテッレを添えました」
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