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(左)アユの炭火焼きに、アユとニンニクのピュレ、マスタード入りのクレソンピュレなど凝縮感のある要素をプラス。変化と奥行きに富む一皿になっている。昨年からアユをメニューに加えているが、“アユは奥深い食材”とベカ氏。
(右)フランス伝統料理のマトロート(ウナギの赤ワイン煮)と、皮をよく焼く日本風のウナギから考案した料理。ウナギは加熱後皮を別にし、スパイス入りのピュレを塗り炭火で焼く。甘酢味のソースを添えた。
 例えば、アユ。アユの塩焼きは、シンプルなのになぜこんなにもおいしいのか? 調理のポイントは何かをベカ氏が理解する際、日本料理の料理人の力を借りた。同じ並木通り沿いのごく近所に店を構える「銀座奥田」の奥田 透氏に、アユのポイントは「身の繊細な香りと柔らかさ、内臓のインパクトある苦みとコク、カリッと焼いた頭のテクスチャー」だと教えを受けたという。また、これらを実現する炭火の扱い、そして日本人がアユに抱いている特別な思い入れについても学んだ。
 このように素材を十分に理解したうえで、ベカ氏は素材を手にした時の直観、素材の魅力を表現するための論理的な構成をもとに料理を考案する。「フランス料理はこうあるべき」という固定観念――主素材と付け合わせとソースで一皿を構成する、フォンをベースに濃厚なソースをつくるなど――に縛られず、あくまでも直観と論理を優先する。「『エスキス』とは『素描』という意味です。完成した作品ではなく、変化の可能性を秘めた状態である、という在り方を示しました。素材との出合いや私自身の変化によって、料理も店も変わり続け、進化し続ける。枠にはまっていない、いきいきとした状態でいたいのです」
 ひらめきに満ち、ナチュラルで活力にあふれている。これこそが、現代の東京における「贅沢」。エスキスは、私たちがこの「新しい贅沢」を体験する場なのだ。

●エスキス
東京都中央区銀座5-4-6
ロイヤルクリスタル銀座9F
TEL03-5537-5580
www.esquissetokyo.com
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