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(上)カルタヘナ全景(左下)カルタヘナの街角(右下)百年の孤独 原書
ガルシア・マルケスが永眠する、16世紀の城塞港町、カルタヘナ
ラテン・アメリカのマジカル・リアリズムは、「百年の孤独」でノーベル賞を受けたガルシア・マルケスの小説に代表される。マルケスが生まれ、2016年に永眠し、こよなく愛したのがコロンビア北部カリブ海地方とその港町、カルタヘナだ。
 16世紀、南米大陸の交易地としてして栄え、海賊や列強諸国の襲撃に備え町を囲む強固な城壁を築いた。その中に残された旧市街地はユネスコ世界遺産となっている。また、周辺は遠浅の海と浜、無数の小島に恵まれたリゾート地として知られるように。
 甘い熱を孕んだカリブ海の風に迎えられ、艶やかな布を纏った巨大な黒人女性とすれ違い、通りに流れるサルサとはまた違うリズムの曲‥・漂うマジカル・リアリズムへの誘い。コロニアル風の石造りの町並みすらが、かくもミステリアスに輝いて見えるのは、カリブ海の陽と海がなす光彩ゆえだろうか。
 奴隷市場の跡を見学してから、旧市街地の石畳の細い道をふらふらと散策する。気のせいか書店が多く、どこもマルケスの本が平積みになっている。店主にマルケスが住んでいた家を教えられたが、既に売却され、高いオレンジ色のコンクリートの壁が聳える。
 その厚い壁の片隅が一部齧られたように壊れていた。「百年の孤独」で、家の壁を食べて生きた老女の逸話を思い出す。マルケスの輝かしい86年の孤独に合掌した。
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