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展示は9のセクションに分けられているが、その一つひとつが日本建築の遺伝子を探る上で興味深い内容なので、ここにいくつか挙げておく。まず、「可能性としての木造」。日本建築は木造建築の系譜といっても過言ではない。古代から伝わる木造建築の技術と、その未来が語られる。次に、「超越する美学」。もののあはれや無常、陰翳礼讃(いんえいらいさん)など超越的な姿勢を持つ日本の美意識と、それが建築にもたらした影響を探る。そして、「共生する自然」。自然に畏怖の念を抱き、信仰してきた日本人の自然観がどのように建築に反映されたのか。使用する素材さえ自然の一つと捉えて建築する、日本人建築家の心情が見えるようで面白い。
 美術館で資料を見て理解できるものではない建築の美を、現代技術を用いて体感させる、展示の見事さも見どころである。日本建築を振り返ることで、自分自身の中にある遺伝子も刺激され、その美しさに改めて圧倒される展覧会だ。

六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展
建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの
会期●9月17日(月)まで
会場●森美術館 東京都港区六本木6-10-1
六本木ヒルズ森タワー53階
開館時間●10:00~22:00(最終入館21:30)
※火曜のみ17:00まで(最終入館16:30まで)
www.mori.art.museum/
(上)杉本博司設計の江之浦測候所。カメラレンズの素材、光学硝子で構成された光学硝子舞台は、冬至の朝の太陽が硝子を照らすように設計。杉本博司《光学硝子舞台(小田原文化財団 江之浦測候所)》2017年 神奈川 Ⓒ小田原文化財団
(下)雲の上のホテルと温泉をつなぐ渡り廊下を兼ねた木橋のミュージアム。刎橋(はねばし)という江戸時代の架橋形式が採用された。隈 研吾《梼原・木橋ミュージアム》2010年 高知 撮影:太田拓実
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