PAGE...1|2|3|4
(左)ジェラルド・ジェンタによる1970年の最初のデザインスケッチ。伝説は、ここから始まった。(右)1971年12月に特許申請した際に提出されたケースの設計図。ベゼル、リュウズ、風防ガラスについて、またケースのサイド図では防水性を確保するための機構についても、詳細に言及されている。

進化を重ねた半世紀の結晶
 それから半世紀という時間の中で、オリジナルデザインを守りながら、素材、サイズ、レディースモデル、複雑機構などのバリエーションを広げ、ディテールもブラッシュアップを重ね、「ロイヤル オーク」は進化を続けてきた。ラグジュアリースポーツウォッチというカテゴリーを、一般ユーザーが認知し始めるのは2000年代半ばになってからだが、そのパイオニアが「ロイヤル オーク」だったという事実が、この時計の評価を改めて高めることにつながった。ラグジュアリーでありながらスポーティーでもあり、先進的でありながらタイムレスであるという「ロイヤル オーク」に、ようやく時代が追いついたのだ。
 今年、記念すべき50周年を迎えて登場するモデルでは、22K製ローターが50周年記念仕様になっていることに加え、ケースサイドのべヴェリングと呼ばれるポリッシュ仕上げの斜面部分がやや広がり、シャープな輝きが増しているのが分かる。手首へのフィット感を向上させるために、ブレスレットの最初の4コマが徐々に薄くなる仕様となり、これに合わせてラグもよりエルゴノミックな形状に変更されている。アワーマーカーの長さの比率も視認性を踏まえつつ他のモデルとの統一が図られ、シグネチャーロゴも極薄のゴールド層を重ねる特殊な化学的プロセスによる24K製に一新された。ディテールにまで配慮を行き届かせた進化が「ロイヤル オーク」の身上であることを垣間見ることができる。
 最先端技術の一方、伝統的な手作業を守り、決して量産に傾くことなく、じっくりと時間をかけるオーデマ ピゲのもの作りのスタンスが、このタイムピースに息づいている。半世紀にわたり、たゆまぬ進化を重ねてきた「ロイヤル オーク」。その世界観に対する理解を深めるほどに、改めてリスペクトの思いが湧き上がってくる。
PAGE...1|2|3|4

記事カテゴリー