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「日本料理は、自然との対話。四季の移ろいを、八寸を始めとする料理の数々で表現します。ここ星のや京都では、そのバックグラウンドが周囲に広がっているんです」
 星のや京都の料理長、久保田一郎氏が繰り広げるのは、日本料理の神髄を大切にしながらも、枠にとらわれることなく、食材や調理法を自在に取り合わせた会席料理。素地は、絶対にぶれないように、気をてらうこともなく。今の気分にフィットする日本料理を創造している。
 京都・祇園の割烹(かっぽう)に生まれ、海外に飛び出して料理人として修業。京都に戻り、改めて日本料理と向き合ってきた久保田氏が手掛ける料理は、彼のインターナショナルなキャリアを、そのままに映し出しているかのようだ。和食が世界的に知られるようになった今、日本料理の新しいフェーズを感じさせる。
 「京料理は、言わば京焼と同じ。伝統を下敷きにしながらも、それぞれの個性が生きています。京都の料理人は、いい意味で、みんな自分が一番だと思っていますよ(笑)」
 夏の時期だけに提供される、1日4食限定の鱧はも鍋朝食も、絶品。肉厚でふっくらとした鱧に、たまねぎの甘みや、九条ねぎ、レタスなどの青野菜の香りが上品に溶け合う。鱧鍋を味わいながら、畳ソファに座って外の緑を眺めていると、鱧の骨で丁寧にとった出汁が、朝の体にじわりと染み渡る。そして、締めの雑炊が、幸せな夏の一日の始まりを予感させるのだ。

●星のや京都 京都府京都市西京区嵐山元録山町11-2  TEL0570-073-066(星のや総合予約)
HPはこちら
(上左)日中はひきたてのコーヒーを、夜は国産のウイスキーを楽しめる「Salon & Bar 蔵」。日本の手仕事に触れられる場としての機能も持つ。(上右)ライブラリーの外側にしつらえられた「空中茶室」は、大堰川をめでるための特等席。朝や夕方など、涼しい時間を選んで、夏の川辺を楽しみたい。(下左)“水辺の夜坐”は、一日の終わりを、穏やかに過ごすためのアクティビティー。ストレッチや呼吸法を重視した動きで、軽い瞑想タイムを。(下右)客室は、伝統的な旅館の建築美を残しながらも、快適な滞在のために考案された家具や設備を置く。和室に畳ソファが絶妙にマッチする。
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