
抜群の機能を誇る最新鋭の厨房で、食材と料理人の間で真剣勝負が行われる。
目標は、オープンのときから、世界屈指のガストロノミーレストラン。目標が決まっている以上、進むべき道は明らかだ。デュカス時代に使っていた食材を、いや、それ以上の質を求めてフランス中から最上の食材を取り寄せ、長年培ってきた高度な技術を武器に、珠玉の料理へと昇華させる。オープンと同時に店は大評判となり、1年目でのミシュラン一つ星は自他ともに当然の評価。他のレストランガイドや業界誌でも“今年の料理人"などに選ばれ、あっという間に大注目の店となった。しかし小林氏は浮足立たない。オーナーシェフである以上は経営が大切であり、自分の哲学をきっちり反映できるスタッフを育てない限り理想の料理を出すことができない、と分かっていた。まずは顧客の取り込みとスタッフ育成。少しずつ、より自分らしいクリエーションを増やし、2013年には厨房を改装、スタッフのレベルも上げてきた。小林氏の料理を高く評価する常連客も多く、彼らとともに店をゆっくり成長させてきたのだ。