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さとう・しんいち
1977年北海道生まれ。「エノテカ札幌」などを経て、2000年、23歳で渡仏。「ラストランス」(フランス)、「ムガリッツ」(スペイン)などを経て、2009年「パサージュ53」シェフに就任。2011年ミシュランフランス版二つ星獲得。現在は共同経営者。ブルゴーニュ地方のワイン農家で収穫から醸造の時期を過ごした経験もありワインへの造詣も深い。店のワインリストはブルゴーニュワイン好きなら一見の価値がある。
金の皿、銀の皿
新世紀を作る料理人たち Vol.1
Passage 53 佐藤伸一

Photo Masahiro Goda Text Yukino Kano
フランス版ミシュラン初の日本人二つ星シェフとして注目を集める佐藤伸一氏は、インパクトのある斬新な料理で多くの人を驚かせてきた。しかし今、突き詰めているのは、シンプルで極上の料理。なぜ、彼はスタイルを変えたのか? その理由を探るため、フランスでも人気の高いパサージュ53を訪ねた。
今、パリはもとよりフランスのガストロノミー界で、日本人料理人によるフランス料理が、大きな潮流となっている。その立役者の一人が、「パサージュ53」の佐藤伸一氏。これまでにない繊細さと緻密な感性が生み出す新感覚の料理は、すぐにパリジャンの舌を捉え、オープンわずか2年目で、フランス版ミシュラン初の日本人二つ星シェフという快挙を遂げ、パリの食シーンをリードするようになった。
 子供の頃から母親の傍らで、見よう見まねで料理をしていた。料理をするのはもちろん楽しかったが、何よりも、自分が作ったもので誰かが喜んでくれるのがうれしかった。
 専門学校卒業後、地元札幌のホテルに就職。配属先はビアホール。フランス料理ではなく居酒屋料理を作る日々だったが、料理を作る、という喜びには変わりはなかった。ただ、なぜこれはこういう風に調理しなくてはいけないんだろう? こうやった方が効率がいいのに、と思うことは多く、それを先輩に問うと、「昔からこれはこうやってきたんだ。そんなこと聞くな」と疎まれたことも少なくなかった。
 「そんなこと聞くな、言われた通りにやれ、と言っていた先輩は、本人にも理由が分かっていなかったのですよね。つまり意味がない。意味のないことをまねる必要はない。今でも、若いスタッフに質問されれば、必ず答えます。全ての現象には意味があるのですから。なぜこうするのかをいつも考えるように、と言い聞かせています」
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