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2013年から「2年」と言えば2015年。とはいえ、仮に物価上昇率が目標に到達したところで、それが持続可能なものであるのかを判断するためには、さらに数カ月の時間を費やすこととなるはずであり、結局は2016年にかけても量的緩和措置は継続されるものと考えることができる。当然、その間の「円安エンジン」は、出力全開の状態を続けることとなろう。
 三つ目は、筆者を含めた少なからぬ市場関係者の相場予想の中に、過去の円相場の推移にハッキリと確認できる「8 ~ 9年サイクル」の考え方が盛り込まれているという点である。これは、日本(円)が変動相場制に移行して以来長らくの歴史の中で、「対円でのドルの値が決まって8 ~ 9年ごとに一旦、当面の天井をつけに行く」というパターンが繰り返されていることを指している。前回の天井が2007年6月の1ドル=124円台であったことから、次は2015 ~ 16年あたりに一旦、当面の天井をつけに行く可能性が高いと見ているわけである。水準のことを言えば、やはり前回の天井となった1ドル=124円が意識されやすいだろうし、仮にその水準を超えてくるようであれば、125 ~ 130円あたりまで円安・ドル高が進む可能性も十分にあるものと考えていいだろう。
 ただし、相場は必ずしも直線的なものではない。また、対円でドルが一段の上昇を見るには、米景気の本格回復や利上げなどといった、いくつかの段階をこれから踏まえねばなるまい。よって、目先は一時調整の可能性もあり得るものと心得ておくことが肝要だ。
(左)THIS MONTH RECOMMEND
人口減少の問題をいたずらに悲観しない!
著者が座長を務める政策提言機関「日本創成会議」によれば、これから2040年までの間に、日本全国で896にものぼる自治体が消滅してしまう可能性があるという。こうした事実は、少々センセーショナルに思える書名よりもずっと深刻だ。とはいえ「もはや打つ手がない」というような「悲観論」に立っても益にはならないと著者は主張。そのうえで、真正面から問題解決のための具体的な処方箋を検討し、本書の中で提言している。(「地方消滅 東京一極集中が招く人口急減」増田寛也編著/中央公論新社/ 886円)
(右)たじま・ともたろう
金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。 www.e-minamiaoyama.com
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