

(上)死海の岸辺。(下)死海で浮く。
クレオパトラの保養地 死海。
北岸に沈んだソドムの都
北岸に沈んだソドムの都
ヨルダンの西端、パレスチナ自治区とイスラエルとの国境を流れるヨルダン川。それはやがて、世界で最も低い標高、海抜マイナス420mにある死海へと注ぐ。このため、死海沿岸は極めて酸素濃度が濃く、紫外線は弱く、気候は温暖だ。死海は塩分濃度も高く、人が沈まない「浮遊体験」が楽しめることで知られている。だが、死海は塩分だけでなく、ミネラルも豊富。スパの条件が揃っているわけで、北部沿岸には外資系のラグジュアリーリゾートが並ぶ。
ユダヤ王ヘロデを陥落せんと美しさを磨いたのだろう,クレオパトラは死海の泥パックを愛用したという。それを真似た後、死海で泥を流す。水に入りながら宙に浮いているような奇妙な感覚を楽しみ、クレオパトラの王宮を連想させる豪華なホテルで寛ぐ。クレオパトラは、対岸イスラエル側に残されているヘロデ王のマサダ城塞を訪ねる機会はあったのだろうか。
死海周辺はヘロデ王に限らず、旧約聖書に記された遺跡が数多く残っている。埋没しているため遺跡として見ることはできないが、肉欲にまみれ神に滅ぼされたソドムとゴモラの町も死海北部にあったとされる。唯一善き人として救われたロトだが、「振り返って滅びる町を見てはいけない」という神の教えに逆らった妻は塩柱と化した。ロトの妻と伝承される塩柱が死海の丘に佇む。地球上に再生されゆく無数のソドムを傍観しながら。
ユダヤ王ヘロデを陥落せんと美しさを磨いたのだろう,クレオパトラは死海の泥パックを愛用したという。それを真似た後、死海で泥を流す。水に入りながら宙に浮いているような奇妙な感覚を楽しみ、クレオパトラの王宮を連想させる豪華なホテルで寛ぐ。クレオパトラは、対岸イスラエル側に残されているヘロデ王のマサダ城塞を訪ねる機会はあったのだろうか。
死海周辺はヘロデ王に限らず、旧約聖書に記された遺跡が数多く残っている。埋没しているため遺跡として見ることはできないが、肉欲にまみれ神に滅ぼされたソドムとゴモラの町も死海北部にあったとされる。唯一善き人として救われたロトだが、「振り返って滅びる町を見てはいけない」という神の教えに逆らった妻は塩柱と化した。ロトの妻と伝承される塩柱が死海の丘に佇む。地球上に再生されゆく無数のソドムを傍観しながら。


(上)死海のリゾートホテル。(下)ロトの妻とされる岩塩柱。