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(上)「フランス人間国宝展」をメセナとして支援するベタンクールシュエーラー財団のCEOオリヴィエ・ブロ氏。世界にフランスの伝統工芸を広めるため尽力している。
フランス伝統工芸の匠が生み出す美の世界
 
Photo TONY TANIUCHI
Text Ichiko Minatoya
メートル・ダールは、フランスで最高技術を持つと認定された伝統工芸職人に与えられる称号。その栄誉にふさわしい傑作の数々が、東京国立博物館の表慶館にやってきた。「フランス人間国宝展」をメセナとして支援するベタンクールシュエーラー財団のCEOオリヴィエ・ブロ氏が、日本で開催する意義を語った。
メートル・ダールは日本の重要無形文化財保持者、つまり通称「人間国宝」の考えにならい1994年に創設された称号。フランス文化省が伝統工芸の最高技能者に授与しており、2016年の時点で124名が認定を受けている。「フランス人間国宝展」では、その中から13名、さらにベタンクールシュエーラー財団が主催する「手の賢さに捧げるリリアンヌ・ベタンクール賞」の受賞作家2名、計15名の渾身(こんしん)の逸品が約230件も展示される。
「工芸品は実用品でありながら、同時に芸術品でもあります。私は必ずしも『工芸=実用』にとらわれることはないと考えており、ただただ美しいというものも、工芸品として評価してきました。今回も『工芸とはこうでなければならない』という制限は設けず、フランスに大勢いる作家を選び、その中から作品を厳選しています。多用性のあるフランスの伝統工芸を紹介したかったのです」
 かつては身近にあった工芸品も時代とともにライフスタイルが変化し、実用性が薄れている。その存在が消えようとしているものは、技術ごと絶えてしまう危険性が高い。
「そうした問題を考えるうえでも伝統工芸を国内だけでなく世界に紹介し、未来の可能性を広げる必要を感じています。日本とフランスは文化的なつながりも深く、お互いの技術や美意識をリスペクトし合ってきた歴史もある。今回の展覧会は今後の展開のためにも非常に重要な第一歩であると考えます」

フランス人間国宝展 www.fr-treasures.jp
会期●11月26日(日)まで
会場●東京国立博物館 表慶館 東京都台東区上野公園13-9
開館時間●9:30~17:00 ※金・土曜、11月2日(木)は21:00まで。※入館は閉館の30分前まで。
休館日●月曜
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